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”応援よろしくお願いします”

 近年テレビなどでスポーツ選手へのインタビューがあるとよく耳にするのが、「応援よろしくお願いします」という言葉で、実はなんだかこれが落ち着かない。別に間違っているとかいうわけではなく。いつも応援してくれてありがとう、これからも応援してください、というのは別におかしな感じではないとも思うのだけれど、なんだか落ち着かない。

 それは、なんとなくそれが「応援してくれないなら、がんばらないよ」という空気に感じてしまうからかもしれない。もちろん、誰もそんなつもりでは言っていないのだろうとは思うけれど。ただ、スポーツにしろ、芸能にしろ、プレイする側はその分野にたいしてひたすら実直に取り組んで、よりよいものを観客に見せようと努力しているというのが、そもそもで。プロの場というのはそれにたいしての対価を得て見せているというものなのだと思う。

 だから、応援してくれようと、そうでなかろうと、ひたすらに自分のプレイに磨きをかけていく、ということに専念するだけでよくて、その結果のプレイを見て、ファンはそのプレイヤーなりを応援したいと思うのではなかろうかなと。応援してくれていることに感謝こそすれ、応援してくれというのはちょっと違うのではないかな、とも思ってしまうのですよ。

 もちろん、それは少しばかり穿った見方なのかもしれない。ただ、それでも、なんとも気持ち悪さが残ってしまうくらい氾濫している。「いつも応援してくださって、ありがとうございます。これからもいっそう精進して、さらによいプレイをお見せできるようにがんばります」くらいでよいのじゃなかろうかなあと。

 同様のことで言うと、「感動をありがとう」というのも、なんだか奇妙な感じがしてしまう。素直に「感動しました」でいいんじゃなかろうか、などと。いやまあ、感動するプレイだったので、なんとか感謝の気持ちをあらわしたいということなんだろうから、間違っているというつもりはないのだけれど、プレイヤーは感動させるためにやっているわけじゃないわけで、たまたま結果として見ている側が感動したということなのだから。

 まして、プレイヤーが「もっともっと、感動を与えられるようにがんばりたい」とか言うのは、もう何をかいわんや。それはもうスポーツとかではなくて、単なるショーでしかないのでは、と思ってしまうのだけれど。もちろん、プロのプレイにはショーの要素もつきまとうだろうけれど、そのために行っているわけではないと思うのだよね。だから、なんとなく落ち着かない感じがしてしまう。

 ある種、職人が職人気質を失ってしまった、そんな感じなのだろうか。しかし、最近はそうした職人然とした職人というのも少なくなってしまったのと、なにか似たようなものなのかもしれないなあ。

 どちらがよいというわけではないものの、それでもなんだか落ち着かないのです。

#タイトルに「”」をつけました。

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談慶の意見だ―絵手紙集


4784071504談慶の意見だ―絵手紙集
立川 談慶
信濃毎日新聞社 2011-01

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 月に一回の新聞連載を楽しみにしているのが、立川談慶さんの「談慶の意見だ」という絵手紙コラム。落語家らしく、時にちょっと重い話題でも上手に笑い飛ばしてみせてくれる。目の付けどころがうまいなあと思うこともあり、あわせて描かれている絵手紙が一味きいていたりして、それもまた楽しみのひとつ。

 もちろん、時にはあまりすっとしないときもあるにはあるのだけれど、まあこのあたりは好みの領域でもあり、許容範囲というか、そういうもの。総じて楽しい。すでに 5 年あまりになろうということで、それほど前からだったろうかと記憶もおぼろ。考えてみればスキャンして残しておけばよかったなあと思っていたのだけれど、今回本にまとまった。

 実物はまだ見ていないのだけれど、絵手紙集というくくりになっているところを見ると、絵手紙だけを集めただけなのだろうか? ページ数からいってもあるいはそうかもしれない。それはちょっともったいない。文章もあるといいなあ。

 実のところ、昨年の春くらいのものをひとつだけ残してあって、それは著名なKさんの話題に関連してだった。「勝つまでの間、和みの代わりになるもの」などと揶揄するような文章も書かれていたけれど、別に批判的なものというわけでも肯定するというものでもなかった。そのあたりの事実を事実としてみるというスタンスも好きだったりする。まあ、意味不明なようにも見えて、なかなか言い得ているなあと思ったのも事実。さて、今も和みの代わりになっているのかどうか。

 旧丸子町出身ということで、古くから地元のテレビ番組などにも登場し、真打昇進のときには特別番組も組んでもらった経緯もあり、地元民としては応援したいところでもある。まあ、師匠ゆずりでこのところ少々毒を含んだ雰囲気も感じられて、時として眉をひそめがちなこともなくはないのだけれど、ますますご活躍されますことを。

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米朝ばなし 上方落語地図


4061833650米朝ばなし (講談社文庫)
桂 米朝
講談社 1984-11-12

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 先日の東京23区の地名の由来の本を読んでいて、ふと思い出したのだった。そういえばまだ途中だったはずだが、どこにやったかなあと。購入したのはもうずいぶんと前。FADV 時代に教えてもらった本。タイトルだけ見ているとなんだか危ない政治の話みたいだよね、という感じも好きだったなあ。

 で、この手の短い文章がたくさん集まったものは、ちょっとした合間の時間に読むのに適しているので、そうした出かけた合間にでも読もうかなどと思っていたのだった。で、出かけることがなくなってしまってから、さてどこにしまってしまったものかと、すっかり忘れていたのだった。ようやく思い出したので、見つけ出してきた。

 地名の由来の本というわけではなく、京・大阪方面の地名にちなんだ上方落語を紹介するという趣旨。近年の NHK 朝のドラマ「ちりとてちん」でもなければ、自分も含めて多くの人にとっては、上方落語というのはなじみの薄いものだったのではないかと。そんなこんなも含めてざっとあらすじを紹介しつつ、地名についてのちょっとしたメモも付け加えられている。

 いまではサゲがよく理解できないようなものについても解説されていたりして、なるほどと理解するとともに、やはり古典の場合にはだんだん面白みを伝えることが難しい時代になってきているのだなあと、思ったりもする。

 ふと、枚方のところを見ると、

昔、バクチで勝ち逃げするヤツを”枚方”と言うた。これは、それまでバクチをしていてずっと勝っていたのが、大阪まで続けると負けるな、と思うと、途中で逃げる。「枚方で降りまんねん」と言われると、とめようがない。それで勝ち逃げするのを枚方、そんな言葉が出来ていたくらいです。

 などと書かれていたりして、へえと思ったり。川舟に乗っている間にバクチをしていたらしい。

丸竹エビスに押し御池、姉さん六角、タコニシキ・・・

 なんかが京のほうではでてきて、そうそうと口をついたり。やはり子供には無条件に丸暗記させるのが吉だよねえなどとも。

 いまではやらなくなったネタであるとか、高座にはかけられないのだという艶笑譚であったりとかも、さわりだけではあるものの紹介されていて貴重かも。こういうところでも残すということが必要な時代になっているのだろうな。

 折角なのでぼちぼちと、それでもしっかりと読み終えてしまうとしようかと。残りはわずか。

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ReVIEW お試し中

 epub ということで ReVIEW をお試し中。が、よく確かめもせずに Windows で gem install review してみたものの、実行しようとするとなにやらエラーがでてしまうのだった。あとになって github のクイックスタートガイドとかをよくよく読むと、どうやら Windows では動作しないらしい感じ。Cygwin でだったらいけるらしいけれど。

 ということで VirtualBox の Ubuntu に入れてみたものの、またまたそんなコマンドは知らないとかいわれてしまった。あとからまたガイドを見ると、Ruby Gems にパスを通しておいてね、とかあったので、そういうことなのかなとは思ったのだけれど、勝手に /usr/local 方面にコピーしてしまった。パスも少し直したりして一応動作してはいる様子。

 ただ、まだしっかりわかってないせいか、sample.yaml を使って review-epubmaker するのだけれど、なんだか内容のないものしかできない。またまたガイドを見れば、re ファイルを txt とか html とか LaTex とかに変換してってことなのかなと、ようやく思っているあたり。小休止中。


追記:
 結局 CHAPS ファイルを用意してなかったのが原因だった。落ち着いてきちんとドキュメントを読めばわかったものを。
 教訓:ドキュメントはしっかりと読みましょう。

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MTX、一次治療薬に

 [ 【薬食審医薬品第二部会】乳癌治療薬を審議・了承‐MTXをRTの一次治療薬に : 薬事日報ウェブサイト ]

 今となっては生物学的製剤の効果がよく出るようになったので、今更ともいえなくはないものの、第一薬として使えるというのは早期により効果的な薬剤が使えるという意味においては有益なことかと。さらに、体格差は考慮した上で、海外での実績にも応じた使用量の最大値が増やされたのも、手ごろな価格で使えることもあって、効果が認められている患者にとってはよりありがたいことではないかと。

 昔書いたのはどこだっけかと探したら、やっと見つかった。カテゴリわけする以前であったのか。少し遡って整理しないといけないなあ。

 MTX増やせるか: つらつらぐさ

#ちなみに記事タイトルには”RT”となっているけれど、RAの間違いではないかな?

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シスタースドウ

 ETV 特集で「ハイチのマザー・テレサ 83 歳日本人女医の挑戦」。昨年 5/24 のクローズアップ現代に登場された須藤昭子さんの活動を追ったもの。長年結核治療のために活動していたものの、昨年のハイチ地震で建物が壊滅。農業の再生こそ人々の生活を再生させる鍵になるとはじめていた農業学校の予定地も、避難民のキャンプ地になってしまったあたりは、そのときにも報じられたもの。今回はその後に関しても含めての放送だった。

 予算がないこともあって、海外の NGO だかが支援に乗り出したらしいのだが、そこにいくつもの国や企業などがくっついて、それならばと予算もないし、これまでもあまりあれこれしてこなかったハイチ保健省までが入ってきて、気が付いたらとんでもないことになっていると。須藤さんらは結核治療のための施設を再建したいだけなのに、総合病院のようなものを建てる計画に変わってしまっているとか。

 政府がいまだまともに機能していない中、以前から予算がないために修道女会が予算を負担して運営していたというのに、莫大な維持費が必要となる巨大な建物を作ってなんになるのかと危惧するのも無理のない話し。

病院を建てるのが目的じゃなく、実際に役立てることが目的

 と、須藤さんが訴えるのも当然。どんどん話が現場から離れていって、さまざまな利権によって蝕まれつつあるところ、それでもなんとか手を尽くしたことによって見直しがされるようにまでなったらしい。当初は積極的な介入に及び腰だった日本大使館側もようやく話に加わるとか。”ハイチ保健省の心象を悪くしたくないので”というのも分かるけれど、なんとも日和見主義で情けなく思ったものだった。

 いずこの国においても、結局似たような利権社会で、しかも弱者を食い物にしてというのは、哀しい現実なのかと。ハイチの復興はまだまだ遠い先の話のように見える。

 須藤さんは昨年 10 月にハイチに再びはいり、今度は二度と日本には戻らない覚悟だとか。社会は国家とかでなく、こうした一部の人々の努力によって維持されているのだろうかと、切なくも思い、わが身にも刺さる気持ち。まずは出来るところから継続していくことを忘れないように。微々たるものではあるけれど。

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地方出版物と電子書籍について、すこしだけ考えてみた

 すでに昨年のことになるのかと思うのだけれど、「ワンと鳴くカエル」といった検索がたびたびあって、なにかなあと思っていたのだけれど、その後リファラを確認したら、なんとカエル館のページからリンクされているのだった。ありがとうございます。

 しかし、本の感想はわたしのだけで、ほかには感想をウェブにあげている人が見つからないのか。確かに検索してもでてくるのはテレビ番組の感想ばかりの様子。話題になるのはよいのだけれど、テレビというのは結局そうした一過性で終わってしまうからなあ。いや、本は違うというわけでもなく、ただ、たとえ地味でも継続の可能性はあるかもしれない。

 といって、地方の小さな出版社(失礼)による出版物では、全国に知られるということはなかなか難しい。おそらく初刷りだけという現状ではなかろうかと。流通させる方法そのものはあるにせよ、知られるというにはなかなか厳しい。

 そこで電子書籍ですよ。と、単純に考えてはいけないわけで、むろんそうすれば入手のたやすさはあがるけれど、認識される認知される率をあげるというのは、やはり問題。まして、大手の玉石混交の巨大ネット書店システム(特定のネット書店というわけではなく、そういう大きな仕組みの中でという意味で)において、存在を示すというのもまた難しい。

 一部の出版社では「すわ電子書籍」というわけで、さっそくに iPad 版を出したものの、一冊だけにとどまっている様子。大手出版社の著名な書籍ならいざ知らず、地方の出版物では埋もれてしまってなかなかその存在など知られないだろうなあ。

 いっそ、地方小出版流通センター(リアル書店への流通に寄与している)で、地方出版社の電子書籍を扱うサイトを用意して、そこで一括して紹介、販売を行えるようにでもしたらどうだろう、などと妄想してみた。個々の出版社がそれぞれにウェブサイトを持つところもあるけれど、小さなところだとないところもある。まして販売システムを用意してとかいったら面倒なことで、そうしたことを一手に引き受けてくれて、なおかつそうした地方出版物がそこにまとまっているというのは、ちょっとしたメリットにならないかなあと。

 もちろん、それだけで目に付くようになるとはいえないし、アピールというのは必要になるだろうけれど。ことに絶版本をそうして永らえるということは、小さな出版社にとってもメリットはあるのではないかと。新刊だって刷り部数の少なさを補完できる可能性も持っていないかなあとか。

 消えていってしまう地方のすぐれた書籍を残していくという意味においても、なにかしらできないかなあと一草舎のページなどみながら、ふと思ったのだった。微力ながらお手伝いできることがないだろうか、などと。

 ちなみに、「ワンと鳴くカエル」の一兎舎さんも、ホームページは作られていない様子。

ワンと鳴くカエル 信州・根羽村「カエル館」物語: つらつらぐさ

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さらば愛しき女よ


415070452Xさらば愛しき女よ (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 7-2))
レイモンド・チャンドラー 清水 俊二
早川書房 1976-04

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 冒頭からなんだかいいようにもてあそばれて事件に巻き込まれ、なんとも頼りなさそうなマーロウ。出所したと思ったら昔の女を捜して、いきなり殺人を犯してしまった大男と関わることになってしまうのだけれど、その後は不思議な依頼を受けたりしていて、なんとも事件の進展が見えないようになってくる。

 出てくる人物がすべて怪しく見えてきたりするなかで、ついには殴られて、薬まで打たれておかしなところに半分監禁状態にされてしまったり。もうろうとして回らない頭で考えて、力のはいらない体で行動して。なんとも冴えない風でもあるのだけれど、それでいてそのまま倒れこむわけではなく、すぐに動きだすあたりはタフというかハードというか。

 ただ、ほとんど終盤まで事態がどうなっていくのか見えない状況で、あちこちに散らばっている大小さまざまな歯車が、終盤になって一気に形をなして動き出すあたりは、なかなかいいねえと思わせる。

 粋な台詞というか会話も面白みのうちなのだけれど、残念ながら日本人にとっては少々なじめないところもあるような気がするので、そのあたりは今ひとつ入り込めないのが残念というか悔しいというか。

 ちょっと時代は古くなってしまっているかもしれないけれど、しゃれた、ある意味ソフトなハードボイルドを楽しめるのは確かか。再読してみると、なんとも新鮮な気分になったのもうれしい発見。


 そういえば村上訳がでていたのだったな。いずれは読み比べてみたい。

4152090235さよなら、愛しい人
レイモンド・チャンドラー 村上春樹
早川書房 2009-04-15

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アナログキャプチャ

 アナログTVキャプチャユニットが壊れてしまったらしい。以前だと毎週使う必要があったので直接、あるいは間接(ビデオから取り込む)で使っていたのだけれど、その用事もなくなってしまったので出番が極端に減っていたのだった。だいたい DVD などに残したからといって、結局なかなか見るにならないわけで、まあそれでも残しておきたいというものもなくはないのだけれど。

 さらに、昨年ノート PC を新調したものの、Win7 には対応しない機器だったので(古すぎた)、これまた利用する機会を失っていた。それでも残しておきたいと思っていたビデオなどがあるので、そろそろ始めようかと旧デスクトップ PC に接続してみたのだけれど、どうも様子がおかしい。認識はされるのだけれど画面が表示されない。

 ドライバや視聴ソフトなどを入れなおしたり、はては OS の再インストールまでしてみたけれど同じ。どうやらハードのほうが駄目になったらしい。修理といってももはや対応してくれないだろうし、たとえしてくれたとしても今更というところ。取り込みしてないビデオはそう多くはないので、さてどうしたものかと。

 最近はビデオキャプチャ用の機器は単独で、地上デジタルチューナーも単独。アナログはそれが一緒だったので、せめて取り込みだけできたらよかったのだがなあ。新しいものを買っても 3000 円前後らしいが、さほど使う予定がないとなると、いささか気が重いというか。いっそアナログ時代と同じでチューナーと一体化していたら、思い切ってしまうのだがな。

B00428BF1YI-O DATA USB接続ビデオキャプチャー GV-USB2
アイ・オー・データ 2010-09-30

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B003TV47YMAREA 必殺! 捕獲術 USB接続ビデオキャプチャーケーブル D端子接続対応 SD-USB2CUP4
エアリア 2010-07-07

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B0038KXV8CBUFFALO モニターモード搭載 USB用ビデオキャプチャー PC-SDVD/U2G
バッファロー 2010-03-19

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 しばらく様子見。もう一声、安くならないかなあ。

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白い家

 あまりに有名であるがゆえにさまざまなところから情報がでていて、そうしたものを見聞きしているためになんとなく知ってしまったという気分になり、ついそのものを実際に見聞きすることがおろそかになってしまうということはよくあることで。たとえばそれはベストセラーの本であったり、話題の映画であったり。さながらそれは地元の観光名所に、地元民は却って行くことが少ないということにも似ているかも。

地元民(げんじゅうみん)は地元のガイドブックは読まないからね

(「軽井沢シンドローム」、正確にこの表記だったかどうかは未確認)

 といった言葉もあながち間違いじゃないよねと、時々思う。

 映画「カサブランカ」もそんなひとつで、例の有名な台詞まわしの映像ばかりを幾度となく目にしているうちに、なんとなく十分な気持ちになってしまい、考えてみるときちんと見たことがない。ということでようやく全編通して見た。いいなあ。

 で、あの台詞「夕べはどこにいたの」「そんな昔のことは覚えてない」「今夜あえる」「そんな先のことはわからない」みたいなやつは、実はヒロインとの会話ではなかったのだなあと、はじめて知った。「君の瞳に乾杯」はヒロインに三度言っているけれど。

 そもそもパリから逃げてきてカサブランカにきたものの、なかなか出国する手続きができずにとどまらざるをえない人々が集まっているとか、地下組織の著名な人物を逮捕すべくドイツ将校がやってきて、フランス領モロッコなのだけれど、警察署長に圧力をかけるとか(当時はそういう力関係だったのだろうか)、パリでのふたりの出来事がどうこうとか、そういう話だったのかと。ボガートの役も終わりころまでは、なんだかネチネチしていているなあと思っていたのだけれど、最後はなかなかやるじゃないかという。いや、それはむしろ警察署長のほうか。さながら時代劇の「お主も悪よのう」的な。

 言ってみれば実にシンプルな話ではあるのだけれど、実に切なくて、心憎いものがあって、なんとも心に残る映画だなあと。近年のゴテゴテした映画よりよほど印象に残るんじゃなかろうか。

 気になったのは、イングリッド・バーグマンの顔だけ紗がかかったようになっていたこと。同じ女優でもほかの女優はそのままだったので、やはりこれは女優フィルターってものだったのだろうか、などと。やんわりとした美人さんを強調するような丸みを帯びさせた雰囲気はヒロインのためのものなんだろうかと。

 Time goes by がなんとも沁みるいい映画だったのだなあと、あらためて。一度はきちんと見ておくべき映画だな。

 ちなみにカサブランカとは、スペイン語で”白い家”を意味する”Casa Blanca”で、18 世紀以降スペイン人がこの地に住みつくようになり、アラビア語で”ダールッ・バイダー(白い家)”と呼ばれたことによるとか(「地球の歩き方 モロッコ・アルジェリア・チュニジア '86-'87」より)。

B000LZ6DZAカサブランカ [DVD] FRT-017
ファーストトレーディング 2006-12-14

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 続きが描かれていたなんて。

4253147712軽井沢シンドロームSPROUT episode1 (ヤングチャンピオンコミックス)
たがみ よしひさ
秋田書店 2002-07-25

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追記:1/21
 先の「軽シン」出典と思ったのは、あるいは「我が名は狼」のほうかもしれない。

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エージェント、アンザイ

 旬だけのネタなので、今のうちにクリップ。

 NHK の次期会長候補として名があがりながら、どうもよろしくないから辞退させろ、とかいう話になり、そんなこというならこっちからお断りだ、という話になって、いったい次はどうするのよ、というニュースがこのところあったのだった。なんだか急に「最適な人」が見つかったとかいって JR 東海だかの副会長さんだかが決まったらしいけれど。

 で、すったもんだの方のお名前を見聞きして、どうにも覚えがあるなあと思っていたのだが、ふと思い出したのだった。これ。

4782800541心の社会
Marvin Minsky マーヴィン・ミンスキー 安西 祐一郎
産業図書 1990-07

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 エージェントがどうのこうのというのは覚えているのだがなあ。今読んだらもう少し理解が深まるだろうか。20 年も前だったのかあ。


 はじめはこちらと勘違いしていた。少しも似てない名前だった・・・。

4480051341秘術としてのAI思考―太古と未来をつなぐ知 (ちくまライブラリー)
西垣 通
筑摩書房 1990-01

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マグレブ

 チュニジアの政権が崩壊したなどというニュースが静かに報じられていて、実際受け止めるこちら側としても「そうなんだ」と、やや冷めた反応をしていたりするのだけれど、一方で、23 年もほぼ独裁状態にあったなんてことは知らなかったなあと驚きもあったり。

 かの国はそういう国だったっけか?

 しかし、よく考えると自分が知っている、あるいは手元にある資料はそれ以前のものだったのだなあと思い、そのあまりの時間の経過にあらためて驚いていたりも。

 チュニジアはアルジェリア、モロッコと一緒にマグレブ三国とも呼ばれて、一種独特な雰囲気漂う地域。日本からの観光という意味では、あまりメジャーでないからなんとなく存在は薄いものの、地中海をはさんだ向かいはヨーロッパだから、あちらではごく日常的な世界。お隣のアルジェリアでいえば今ではコースも変わってしまったけれど、かつてパリ-ダカールラリーといえばここを抜けてニジェール、セネガルへとサハラの最奥部にまではいっていたわけで。モロッコはといえばカスバとかで有名だし、映画の風景でも思い起こせるわけだけれど、そうした意味ではチュニジアというのは、なかでもマイナーな世界だったかもしれない。

 「地球の歩き方」にしても、このあたりのものは絶版になってしまったり、再刊されても内容がずいぶんと変わってしまって地域そのものがさみしくなっていたりと、未だに偏狭な地、という印象も。久々に開いてみると、なんともワクワクしてくるけれど、その地では今混乱が生じているのだなあ。

 あこがれているだけで、結局足を踏み入れることなく終わってしまいそうだ。老後の楽しみというには、無理があるかなあ。


 なんと、今は独立して一冊になっているのか。

4478059128E08 地球の歩き方 チュニジア 2010~2011
地球の歩き方編集室
ダイヤモンド社 2010-06-19

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B000LZ6DZAカサブランカ [DVD] FRT-017
ファーストトレーディング 2006-12-14

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B000UDNQZSバベル スタンダードエディション [DVD]
ギャガ・コミュニケーションズ 2007-11-02

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 映画はどれもモロッコだった。

 マグレブ違い、http://ruby.gemstone.com/

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明けてびっくり

20110116_snow


 昨日のうちはそれほどでもなかったものの、どうにも雪曇だったり、雪明かりだったりで嫌な予感というのはあった。殊によれば朝から雪かきしなくてはならないなとは思っていたので、おきて外を見て想像以上の積雪に少々唖然。

 ということで早々に雪かきを始めたのだけれど、終わってみたら2時間以上もたっていた。なんとか朝食を食べたものの、なんとも疲れてしまってなにかをするという気力がでてこない感じ。

 それにしてもいきなりこれほど積もってしまってはちょっと困るなあ。日曜でまだよかったとも言えるけれど、センター試験の二日目というのに、雪国の生徒たちは気の毒だ。河野さんではないけれど、まったくもってもっとこの時期の試験開催ということを本気で考えるべきなんじゃないかとも思う。大体、この時期に合わせるように大雪だったりするのだから。家族だって大変よ。

 ひとまず落ち着いているけれど、今夜さらに積もるようなことがなければよいのだがなあ。

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スピリット

 NHK 「SONGS」でイーグルスというので録画。寒さもあって遅い時間の番組はオンタイムで見ることが少なくなったなあ。当時の映像などで曲を流してくれたりしてなかなかよかったし、インタビューも。あたりまえなのだけれど、すっかりおじさんで(ある意味じいさんでもある)、そんなところもまたなんだかよかったりする。

バンドも国も政府も批判を受け入れる強さを持たなきゃだめなんだ(ドン・ヘンリー)

 今じゃこの国もなにかと迎合する社会だったり人々だったりするようで、そういう志を持ったものが生まれる空気というのは廃れてしまったのかなあ。

'Please bring me my wine'

He said, 'We haven't had that spirit here since nineteen sixty nine'
(ホテル・カリフォルニア)

 憎い歌詞だよね。

B000BR2MGCホテル・カリフォルニア
イーグルス
ワーナーミュージック・ジャパン 2005-12-21

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 意味はそうだけれど、”ならず者”とタイトルしてしまうと、なんかちょっと嫌な感じもするなあ。デスペラードでもいいような気がする。

B000BR2MFIならず者
イーグルス
ワーナーミュージック・ジャパン 2005-12-21

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拍子切り

 このところ料理番組やその他の番組で料理を紹介するような時でも、奇妙な切り方が紹介されていてなんだか気持ち悪い。先日は NHK の野菜の時間ででてきて、ご丁寧にそのままのテロップまで表示されて。

20110109_vegitable


 拍子切り、ってなに?

 「いいですか、まずこう切ります。そうして、返す刀でこんどは、こう切ります。リズムよく切ってください」

 とでもいうのかなあ。それとも懐かしのギター侍とか(キリ違い)。

ひょうし【拍子】

 1.楽曲のリズムのもとになる、周期的な音の強弱の組合せの一区切り。
 4.何かをした、ちょっとした機会。はずみ。とたん。

 【--木 ぎ】
 [合図・夜回りなどで使う] 二つ打ち合わせて鳴らす、四角柱状の木。

 新明解国語辞典第四版

 千切りとは異なり、拍子木のようなやや太めの四角い棒状に切るから、拍子木切りであって、どんなに言い難くても”拍子切り”ではないし、それでは意味が通らない。天下の NHK までがそんなことをしているのは、なんとも情けないような。それとも今ではそっちが正しいのかしら?

 拍子木切り 野菜の切り方 料理の基本 | ホームクッキング【キッコーマン】


追記:画面キャプチャを追加。

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昔も今も

 NHK スペシャル「日本人はなぜ戦争へと向かったのか 第1回“外交敗戦”孤立への道」を見たら、なんだかそのころと日本の政治は根本的に変わってないのじゃないか? などと思ってしまった。首相はころころ替わる。確固たる戦略がない。その場しのぎである。甘い判断。などなど。

 別にだから戦争に向かっているってわけではなくて、外交に関してどうにも下手だなあと思うのは、あるいは日本人の悲しい定めなのかもしれないのかも、などと思わなくてはならないのかと思ってしまうというような。

 内部のごたごたに終始していて、物事が進まないとか。もはや政党うんぬんではなくて、日本人であるがゆえには、もうどうしようもないのかもと悲観的に思ってしまうくらいに。

 いやまあ、なんとなくそんな風に関連付けてしまっただけなのだけれど。

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もうどうけん ふりふりとまり


4344977408もうどうけん ふりふりとまり
セア まり はまの ゆか
幻冬舎エデュケーション 2010-09

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 本が好き!から本をいただきました。ありがとうございます。

 ふりふりは、もうどうけんです。もうどうけんは、目の見えないひとや、目の見えにくいひとといっしょにいて、いろいろ手つだってくれる犬です。まりさんは、ふりふりがやってきてから、とてもうれしそうです。外にでかけるときも、ふりふりがいてくれるので、じぶんで歩いていると思えるそうです。

 まりさんは、ふりふりといっしょに、おきなわに行くことになりました。ふりふりは、ひこうきに乗るのは、はじめてです。でも、ふりふりは、まりさんの足もとで、おとなしくしています。もうどうけんは、いろんなくんれんを、うけているので、とてもおりこうさんです。でも、ほんとうは、はじめてのひこうきだったので、ちょっぴりどきどきしていたそうです。

 ふりふりは、はじめての海をみて、犬のともだちとはしゃいでいたら、のどがかわいたので、海の水をのんでしまいました。しょっぱくてぐったりしてしまったふりふりのそばに、まりさんはいっしょにいてくれました。海にはいることを楽しみにしていたのに、えらいなーと思いました。

 つぎの日、ふりふりは、朝はやくにへやをぬけだして、海にいきました。こわかったけれどゆうきをだして、カメさんといっしょにおよぎました。ふりふりはそれでちょっと自信がついたようでした。こんどは、まりさんといっしょに、海にはいります。まりさんは、ちょっとこわいと思いましたが、ふりふりがだいじょうぶだとはげまします。そして、海にはいっておよぎました。まるでとりのようでした。

 おおきなマンタにもあいました。まりさんは、とてもかんどうしました。自分に自信もついたそうです。

 目が見えなかったり、体がうまくうごかないひとも、助けてもらっていろんなことができる。とてもすばらしいことだと思いました。おしごと中の、もうどうけんをみかけたら、じゃましないように見まもりたいと思いました。もうどうけんは、しんごうきのいろがわからない、とかいてあったので、もしもそんなときには、おしえてあげようと思いました。

 みんながもっともっと、ふりふりや、まりさんのようなひとのことを知ると、いいなと思いました。



もうどうけん ふりふりとまり
  • セアまり
  • 幻冬舎エデュケーション
  • 1260円
Amazonで購入
書評

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右と左

 「名探偵コナン」を見ていてふと思った。大学のテニスの先輩が右足を骨折しているということで、左手に松葉杖を持って歩いている。それってなんだか歩きにくくないか? と。

 で、ちょっと試してみるとどちらがどうというほどよくもなく、つまり一本だけを右脇にいれて使おうが、左脇にいれて使おうが、結局どうにも快適さからは遠いような気がした。あくまでもそんな感じが。

 結局、両手に持って二本で使うからこそ便利なんじゃなかろうかとも思ったのだけれど、擬似的であるがゆえになんともいえないところで。実際のところはどうなのだろうなあ。やっぱり一本だけで使うのは不便なようにも感じるのだけれど。

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メモ:エリアーデ世界宗教事典

4796701869エリアーデ世界宗教事典
ミルチャ エリアーデ ヨアン・P. クリアーノ Mircea Eliade
せりか書房 1994-12

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 教えていただいたのでメモ。ただ、このデザインではないけれど、かつて大阪の紀伊国屋で同じようなタイトルの本を手にとってみた記憶が(10年以上も前なので定かでないなあ)。あれはなんだったか。いずれにしても一度見てみないと。

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寒中お見舞い申し上げます

 昨年秋口に喪中はがきをいただいたので、今年は忘れずに寒中見舞いをその方に出すことにした。以前はついそのままにしてしまったのだけれど、それはやっぱりよくないよなあと。実感したのは一昨年自身が喪中ということで、一切なにも届かなかったのを受けて。

 本来はやはり寒中見舞いを年賀状の替わりに出してあげるべきなのだよねと。でないと、年賀欠礼は知らせたけれど、それに対しての反応はまったくないということで、これはなんとも寂しいというか、悲しいというか、考えてみれば非礼なことだったのだなあと。

 今年はさらに悲しいことがあって、一枚「宛所に尋ねあたりません」という判を押された年賀状が戻ってきてしまったのだった。しかも、あろうことかその相手の年賀状が一緒に輪ゴムで束ねられて届いたのだった。住所を見ると替わっている。引越ししたのならそのときにやっぱり知らせるべきだろうよ。昨年の年賀状で知らせていたのかもしれないけれど、わたしは受け取ってないのだし、一年以内だったら郵便局で転送してくれるサービスはあるけれど、それすらもはや無理。年賀状で転居を知らせるのは失礼じゃないかい・・・。

 そういう意味でも喪中はがきを受け取ったら、きちんと寒中見舞いを送ってあげるということは必要だよねえと思ったしだい。そうすれば、引越したことだって分かったろうになあ。

 あまりのタイミングのよさに、なんともやりきれないものを感じてしまったのだった。このまま住所を改めて再投函したら届けてもらえるものだろうか? それとも新しくしないと駄目だろうか? などと思って、さてどうしようかと思案中。

 寒さ厳しきおり、ご覧のみなさまがたにおかれましても、ご自愛くださいませ。

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バンドネオンの響き

 2 日に放送された NHK の「北斎・幻の海」というのを途中から見たのだった。なんとなくだったのだけれど、どうも試し刷りくらいしかされてないと噂された作品だったらしく、しかも国内なのかにある資料では状態があまりよくなくて色合いなどもあせていたりするようす。で、パリで見つかったというそれは製本された形らしいのだが横長すぎるということでカットされているという。

 結局色合いはパリのそれを、カットされた図柄の補完は他のものを使うことにしてすべての復刻に取り組んだ様が放送されたのだった。(と、思う)

 まあ、その内容そのものもそれなりに面白かったのだけれど(波の描き方の起源は、とある彫刻家の欄間にあったとか、復刻していく作業の様であるとか)、最後に小松亮太の名前が出てきたのが意外な感じで驚いたという。あー、彼の音楽だったかあ、と。

 なんとも久しぶり。知ったのは FADV だったはず。独特のバンドネオンの音って、なんともゾクゾクするものがあるのだよね。再放送があれば、しっかりと聴きなおしたいのだけれど、今のところ予定はないのかなあ。(正月特番だけに、再放送はない様子・・・)


 久々に聴きなおしてみよう。

B0002ZEZZEブエノス・アイレスの夏
小松亮太
ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル 2004-11-17

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B001F6QIEK小松亮太ピアソラ・ベスト
小松亮太
ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル 2008-11-05

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余る

 「赤い指」と重なったので、録画しておいたのを見た。フジテレビ肝いりで相当お金をかけたのだなというのは伝わってきた。内容はそれなりに面白かったのだけれど、なぜアマルフィなのかと思ってしまうと、ちょっと残念な感じも。タイトルにするほどメインの舞台でもないし、それが事件の根幹に関わっているというほどでもないし。一応、解決への糸口につながらないでもないけれど、前面に押し出すほどのことでもないような、と。ま、映画だけを見ての印象なのだけれど。

 真保裕一原作なので、エンターテインメントとしてはしっかり面白いと思うのだけれど、少しばかり力みすぎてしまったのかなあ、といったところ。

 で、連続ドラマでこれから放送するとか。しかもタイトルが「課長 島耕作」みたいなタイトルで。うーむ。期待できるのか、できないのか、微妙な感じがしてしまう。

 この年末年始は、これという映画がテレビの深夜帯にはあまりなかったなあ。

B002PHBIRUアマルフィ 女神の報酬 スタンダード・エディション [DVD]
ポニーキャニオン 2010-01-01

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4061827510アマルフィ (講談社ノベルス)
真保 裕一
講談社 2010-11-03

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長旅

 年末年始になるととたんにテレビ番組がつまらなくなるのは、もはや定番の話で、まあ、少なくともわたしなんかには見るものがなくなるわけです。唯一の救いは NHK かもしれません。この正月もいくつか助けられた。いやまあ、見るものがなければ見なければいいだけのことではありますが。

 2 日放送の「南米大陸一周165日の旅」。たしか昨年だったかにも同様のトラックツアーでアフリカ縦断だったかを放送したと思うのだけれど、なかなかこれは面白かった。南米をぐるりと回ってくれて、土地どちでさまざまな場所をめぐるツアーもある。しかもそれは有名観光地というわけでは必ずしもなくて、自然を体感できるジャングルのような場所であったり、氷壁のぼりを体験したりといったさまざまなもの。

 期間が長いだけに要所要所での乗り降りが自由で、自分の都合に合わせて参加できるというのも面白い。全行程だと費用は 140 万円ほどだとか。移動のための費用や食事なども含まれて。国も人種も違う人々がひとつトラックに乗り合わせて旅をする。いつしか旧知の友のようになっていく様。

 こうしたものを見ていると、ふと自分が自転車で走っていたときのことを思い出してしまったり。よいことも悪いことも、いろいろ思い出されるけれど、やはりそれはもはや遠い記憶。仕事を辞めて旅にでる者たちは、いつか旅を終えて社会復帰するときの不安を時として話すものだったけれど、そうした人生への迷いや悩みは今の時代とてなくなることもないのだなと改めて思う。

 唯一の日本人参加者として、今回も女性がいたのだけれど、彼女(ノリコさんといったろうか)は今どうされているのだろうなあ。すべての行程を旅し、終わることはさびしいけれど、帰れるという期待のようなものもあるといったことを話されていたなあ。実際の旅は昨年の春ころには終わっていたようなので、もう一年あまりが経つわけだ。

 旅を通じてなにかをつかめたり、あるいはつかめなかったり。けれどきっとそれは、必ずしも目に見えるものばかりではないのかもしれない。滑落という過去のトラウマをいつしか克服していたノリコさんのように、知らず自分のなかの変化というのがあるのかもしれないなあ。

 また旅に出たいと思いつつ、ついぞ果たせずにいるなあ。

 Kumuka Worldwide

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東京23区の地名の由来


4779005523東京23区の地名の由来
金子 勤
幻冬舎ルネッサンス 2010-02-20

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 本が好き!経由で献本していただきました。ありがとうございます。

 数年ほど前からだろうか、古地図ブームというのがあって、現在の地図と江戸時代などの古地図とを重ねてみることで、かつて広がっていた風景を想像したり、その痕跡を探したりして楽しむということがあった。ちょうどそれは最近 NHK で放送されている「ブラタモリ」という番組のスタンスにも現れている様子。殊に当初の番組つくりはまさにそういう意図が強くあって、地名や古地図から読み取った痕跡を現在に探して、往時の様を想像していたものだった。このごろはやや趣旨が変化というか多様化しているようでもあって、多少残念なところもないではない。

 地元にいるとあまり深く考えもしないような地名でも、よくよく考えてみるとなぜそんな名前なのだろうと思うものは案外多いように思う。まして、見ず知らずの土地の名前であれば不思議に思うような地名との出会いは意外と多いかもしれない。古地図を持ち出すほど大仰でなくとも、そうした地名の由来がわかると、その土地への接し方もあるいは少し変わってくるかもしれない。

 そんな地名の由来について、東京 23 区限定ではあるものの、解説されたのが本書。もちろん全国の地名にも同じものは多いし、漢字は違っていたとしても読みが同じであったり、由来そのものは同じであるというものもあるので、東京以外においても参考になる部分は多分にある。

 そうした意味においては、手軽に参照できるひとつの手がかりとして重宝するかもしれない。

 ただ、やや残念なのは由来についての説明の大半が、あまりに簡潔すぎることかもしれない。416 の地名について書かれているというためもあるのだろうけれど、ひとつあたりに割かれた行数は平均で 3.6 行ほどでしかない。さらに、由来そのものという意味でいえば 1 行というところがせいぜい。ゆえに、地名の意味することとしては理解できるが、なぜその土地にその名前がついたのかということまで納得できる説明がすべてについてあるかというと、残念ながらないと言わざるを得ない。

 たとえばそれは以下のようなもの。

舎人:舎人とは古代宮廷に仕える下級役人・雑役人・開拓者の家をいう。現在、舎人一~六丁目まであり。


入谷:入り込んだ谷戸(丘陵地の谷あいの低地)のことをいう。現在、入谷一~九丁目まであり。

古千谷:舎人の東の方(東風こち)にある谷という意味。現在、古千谷一~二丁目、古千谷本町一~四丁目まであり。

 たとえば、はじめの「舎人」。意味することはわかるし、おそらくは舎人が多数住んでいた土地だったので、ということからついた地名なのだろうとは分かるのだけれど、言葉の説明にしかなっていないともいえる。読者がそこから補完して「きっとそういうことなのだろう」と読み取らなくてはならない。その後も同様。古千谷などは本来「舎人の東側に位置する谷で、東の方を意味する”東風(こち)”に”谷”を合わせて”こちや”から”こぢや”となった」くらいに書かれるべきでは。

 さらには、由来という意味においてはまったく不要の「現在、・・・」の記述が必ずあるのも余計に思える。もちろん、資料的な価値として考えればいずれ意味をもつともいえるかもしれないが、このコンパクトな中に詰め込もうというのはやや無理があり、これがなければ本来の由来について、もう少し丁寧な文章を書けたのではないかという意味において残念。

 また、「六木(むつぎ)」のように、

関東群から移住を許され、六騎の侍が六木新田を開発したことによる。

 などというのは、説明にならないような説明になってしまっている。六木新田を作ったから六木といったのでは、なぜその新田が六木新田だったのかという意味を説明していない。もちろん、これは、六騎の侍によって新田が作られ、そこからこの土地を六騎新田と呼ぶようになり、これがやがて六木新田となり、そして六木となった、というように書かれるほうが分かりやすいし適切なのではないかと。

 そのくらい読み取れという考え方もあるかもしれないけれど、由来を説明している本であるのだから、その由来をきちんと書くこと、読者の補完を必要とせずに書くことは最低限の要素だろうと思う。

 同様の例では、「大久保」があって、

大久保:由来は自然地形名で、大窪村に大きな窪地があったから。

 とあるのはどうかと思う。いや、これとて意図することはわかる。けれどもこれでは「では、その大窪村はどうして大窪村といったのか」という堂々巡りみたいなものになってしまう。要は書き方の問題なのだけれど、「大きな窪地があったために大窪村と呼ばれていたが、後に大久保の字に変わった」とでもすればよいだけのことのように思うのだが。

 さらに、「四つ木」では、

由来については諸説あり。

1 四本の木があったからという説。
2 聖徳太子像の頭部が四つの木を張り合わせているという説。
などがある。2の説が有力。

 としか書かれておらず、なぜ2が有力なのかはもちろん、2の聖徳太子像がどこにあるのかなどもまったくわからない。

 また、どうしてと思うのが、まったく由来とは関係のない話題がときおり挿入されること。たとえば、「鮫洲」。

鮫洲:・・・京急本線にて京浜運河、京急本線に鮫洲駅あり。鮫洲橋を渡って京浜運河沿いに鮫洲運転免許試験場がある。若いドライバーが集まる。

 というふうに書かれて終わるのだけれど、これは必要な情報なのだろうか? 百歩譲って必要としても、「若いドライバーが集まる」は間違っても必要ない情報だと思うのだが。

 以上のようなことから、あくまでも個人の感覚ではあるが、由来の説明としてある程度納得でき、意味がわかると判断したものと、いまひとつ判然としないものとを分けてみたところ、一応わかると判断したものが 328 、判然としないとしたものが 88 だった。一応分かるとしたものの中にも、上に示したように読者の想像による補完を必要とするものが多分に含まれているので、厳密にいえばさらに 100 程度は流動的といえる。

 このあたりは編集者の責任ということも大きいのだろうけれど、コンパクトな本にするためということを割り引いても、いささか残念なつくりに終わってしまったという評価は免れないのではないかと。なんとも、もったいないことだと思う。ただ、それでも手軽に地名の由来に触れることのできるという意味において、まったく無益というわけではないのも、また事実ではあるけれど。

 地名の由来についての本ではないけれど、よほど「米朝ばなし」(桂 米朝)のほうが由来も含め話題が広がっていて面白い。落語の噺にまつわる場所や物事についてのエッセイなので、同じ土俵で比べるには無理があるのは当然ながら、余分なことを書く余裕があるのであれば、このくらいの雰囲気をもたせてくれたほうが、よりよかったのではなかろうかと思わないではない。大阪方面の方はこちらを読まれるとなかなか楽しいのではなかろうかと。

4061833650米朝ばなし (講談社文庫)
桂 米朝
講談社 1984-11-12

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 以下は各地名の由来説明文に割かれていた行数ごとのデータ。参考まで。(なお、行数が多いものでも図版などのために多くなっている例もある)

1行2
2行87
3行126
4行104
5行54
6行22
7行14
8行4
9行2
16行1





東京23区の地名の由来
  • 金子勤
  • 幻冬舎ルネッサンス
  • 1155円
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書評

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歌も映像も

 今年は NHK みんなのうたが始まって 50 年なのだそうで、昨日元日夕方に特集番組があったので見た。FM で三昧番組をしてくれることもあったのだけれど、実のところみんなのうたはやはりテレビでないといまひとつ意味が薄い。歌はもちろんのことなのだけれど、あの映像も魅力のひとつであるし、ある意味あれがあるから価値があるともいえるわけで。

 残念ながらたかだか 1 時間半あまりの時間では、紹介できる量が限られていて、主だったところしか紹介されなかったけれど、大好きなもののひとつ「僕は君の涙」がフルであったのはうれしかったところ。太田裕美の歌もさることながら、南家こうじさんのアニメーションを見たいというのも価値のひとつ。こうした場でしか見ることができない。その意味では、昨年の「フレ!フレ!大丈夫」だったかもなかなかよかった。

 近年はやや見ることが少なくなってしまったけれど(放送時間の変遷が理由でもある)、このところ運よくみることも増えてきた。「グランパ ツイスト」では、高橋まゆみさんの人形が踊っていて驚いたし。

 もう一度みたいで言ったら、「おでんのうた」とか「小さな汽車」とかなんだけれど、映像って残っているのだろうか。

 先日の「信濃の国」の話ではないけれど、こうした歌が日常のなかに自然と流れていて、知らず知らずのうちに耳に残っていて、大人になってからふと口をついて出る、などということがあると、一気に当時の風景が浮かんできたりしてというのは、いいよねと。

 そんな幼児体験も大人体験もあたえてくれる可能性を持っているものとして、NHK の価値はもっと高めて欲しいなあ、とも。

#明日、3 日の 10:05 から再放送があるらしいので、未見の方はぜひ。

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