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白い家

 あまりに有名であるがゆえにさまざまなところから情報がでていて、そうしたものを見聞きしているためになんとなく知ってしまったという気分になり、ついそのものを実際に見聞きすることがおろそかになってしまうということはよくあることで。たとえばそれはベストセラーの本であったり、話題の映画であったり。さながらそれは地元の観光名所に、地元民は却って行くことが少ないということにも似ているかも。

地元民(げんじゅうみん)は地元のガイドブックは読まないからね

(「軽井沢シンドローム」、正確にこの表記だったかどうかは未確認)

 といった言葉もあながち間違いじゃないよねと、時々思う。

 映画「カサブランカ」もそんなひとつで、例の有名な台詞まわしの映像ばかりを幾度となく目にしているうちに、なんとなく十分な気持ちになってしまい、考えてみるときちんと見たことがない。ということでようやく全編通して見た。いいなあ。

 で、あの台詞「夕べはどこにいたの」「そんな昔のことは覚えてない」「今夜あえる」「そんな先のことはわからない」みたいなやつは、実はヒロインとの会話ではなかったのだなあと、はじめて知った。「君の瞳に乾杯」はヒロインに三度言っているけれど。

 そもそもパリから逃げてきてカサブランカにきたものの、なかなか出国する手続きができずにとどまらざるをえない人々が集まっているとか、地下組織の著名な人物を逮捕すべくドイツ将校がやってきて、フランス領モロッコなのだけれど、警察署長に圧力をかけるとか(当時はそういう力関係だったのだろうか)、パリでのふたりの出来事がどうこうとか、そういう話だったのかと。ボガートの役も終わりころまでは、なんだかネチネチしていているなあと思っていたのだけれど、最後はなかなかやるじゃないかという。いや、それはむしろ警察署長のほうか。さながら時代劇の「お主も悪よのう」的な。

 言ってみれば実にシンプルな話ではあるのだけれど、実に切なくて、心憎いものがあって、なんとも心に残る映画だなあと。近年のゴテゴテした映画よりよほど印象に残るんじゃなかろうか。

 気になったのは、イングリッド・バーグマンの顔だけ紗がかかったようになっていたこと。同じ女優でもほかの女優はそのままだったので、やはりこれは女優フィルターってものだったのだろうか、などと。やんわりとした美人さんを強調するような丸みを帯びさせた雰囲気はヒロインのためのものなんだろうかと。

 Time goes by がなんとも沁みるいい映画だったのだなあと、あらためて。一度はきちんと見ておくべき映画だな。

 ちなみにカサブランカとは、スペイン語で”白い家”を意味する”Casa Blanca”で、18 世紀以降スペイン人がこの地に住みつくようになり、アラビア語で”ダールッ・バイダー(白い家)”と呼ばれたことによるとか(「地球の歩き方 モロッコ・アルジェリア・チュニジア '86-'87」より)。

B000LZ6DZAカサブランカ [DVD] FRT-017
ファーストトレーディング 2006-12-14

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 続きが描かれていたなんて。

4253147712軽井沢シンドロームSPROUT episode1 (ヤングチャンピオンコミックス)
たがみ よしひさ
秋田書店 2002-07-25

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追記:1/21
 先の「軽シン」出典と思ったのは、あるいは「我が名は狼」のほうかもしれない。

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コメント

この映画、イメージだけだとハードボイルド映画だと思ってる人が多いけれど、実は「恋愛映画」なんですよねえ。
ボギーも、格好はつけてるけど、けっこううじうじと情けない感情を引きずってる男だし。
『午前十時の映画祭 何度見てもすごい50本』でも、確か、ハードボイルド辺りにジャンル分けされてたけど、いいのか(^^;?

投稿: 黒豆 | 2011.01.19 11:27

わたしもそう思ってました。冒頭に「危ない男」とか「危ない場所」とか「冒険」だとかの言葉が踊っているから余計に。
でも、めめしいやつだなあとか、許してやれよとか思いつつ見てしまう恋愛映画なんですよね。
ハードボイルドではないですよねえ。ハートボイルドかもしれませんけれど。

投稿: ムムリク | 2011.01.19 11:44

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