長旅
年末年始になるととたんにテレビ番組がつまらなくなるのは、もはや定番の話で、まあ、少なくともわたしなんかには見るものがなくなるわけです。唯一の救いは NHK かもしれません。この正月もいくつか助けられた。いやまあ、見るものがなければ見なければいいだけのことではありますが。
2 日放送の「南米大陸一周165日の旅」。たしか昨年だったかにも同様のトラックツアーでアフリカ縦断だったかを放送したと思うのだけれど、なかなかこれは面白かった。南米をぐるりと回ってくれて、土地どちでさまざまな場所をめぐるツアーもある。しかもそれは有名観光地というわけでは必ずしもなくて、自然を体感できるジャングルのような場所であったり、氷壁のぼりを体験したりといったさまざまなもの。
期間が長いだけに要所要所での乗り降りが自由で、自分の都合に合わせて参加できるというのも面白い。全行程だと費用は 140 万円ほどだとか。移動のための費用や食事なども含まれて。国も人種も違う人々がひとつトラックに乗り合わせて旅をする。いつしか旧知の友のようになっていく様。
こうしたものを見ていると、ふと自分が自転車で走っていたときのことを思い出してしまったり。よいことも悪いことも、いろいろ思い出されるけれど、やはりそれはもはや遠い記憶。仕事を辞めて旅にでる者たちは、いつか旅を終えて社会復帰するときの不安を時として話すものだったけれど、そうした人生への迷いや悩みは今の時代とてなくなることもないのだなと改めて思う。
唯一の日本人参加者として、今回も女性がいたのだけれど、彼女(ノリコさんといったろうか)は今どうされているのだろうなあ。すべての行程を旅し、終わることはさびしいけれど、帰れるという期待のようなものもあるといったことを話されていたなあ。実際の旅は昨年の春ころには終わっていたようなので、もう一年あまりが経つわけだ。
旅を通じてなにかをつかめたり、あるいはつかめなかったり。けれどきっとそれは、必ずしも目に見えるものばかりではないのかもしれない。滑落という過去のトラウマをいつしか克服していたノリコさんのように、知らず自分のなかの変化というのがあるのかもしれないなあ。
また旅に出たいと思いつつ、ついぞ果たせずにいるなあ。
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