ラスト・フライト
以前から何度か書いておこうと思いつつそのままになっていたのだけれど(そういうものが多すぎる)、ふと映画公開などということを知ってしまったので、今を逃すとまた先になってしまうなということで勢いで記録しておくことに。映画作っているなんて知らなかった。
いや、本当ならもっともっと以前に映画化されてもおかしくない逸話だったのに、なぜいままでなかったのかのほうが不思議なくらい。それともさすがに 20 世紀末あたりからは世代の変化が激しくて、すでに彼女のことを知る人が少なくなったり、関心が薄れていったということなのかもしれないけれど。
アメリア・イヤハートは、女性として初の単独大西洋横断飛行に成功し、のちに西回り世界一周飛行に挑戦するも直後に失敗。あらためて東回りで挑戦をし、もう少しで帰国という最後の難関、太平洋上で消息を絶つ。アメリカ海軍によって大捜索がなされたが、機体こそバラバラになって発見されたものの、アメリアと同乗していたフレッド・ヌーナンの遺体は発見されていない。以後、彼女の存在は伝説となった。
アメリアという名前を知ったのは、ふくやまけいこの「ゼリービーンズ」。主人公の女性は図書館司書のアメリア。ちょっとした間違いで知り合った小学生の女の子エリスとの物語。そのアメリアという名前は、飛行家だったイヤハートからもらったのだと書かれていた。とはいえ、あまり彼女について書かれた本がなくて難儀したのだけれど、20 世紀の終わり頃になって一時期次々と出版された時期があって、ようやくいろいろのことを知ったのだった。
やはり一番はアメリア自身の記録による「Last Fight」。さまざまな資料や写真もあって、より具体的に彼女の足跡が読み取れる。長らく絶版だったものが 1993 年に作品社から新訳で出版されたが、今では入手困難かもしれない。
1995 年になると、「アメリア・イヤハート 最後の飛行 世界一周に隠されたスパイ計画」(ランドール・ブリンク、新潮文庫)、「アメリアを探せ 増補改訂版 蘇る女流飛行家伝説」(青木冨美子、文春文庫)などが刊行。後者はもともと 1983 年に単行本として出版されていたらしい。
で、ここででてくるのは「アメリアは日本軍の捕虜となり処刑されたのではないか」という説。なによりたかだか一介の飛行家でしかない彼女を捜索するのにアメリカ海軍まで出動させるのは異様ではないかというあたりもからめて、もしかしたら、などと思ってしまったりもする。もちろん、いまだに消息についても事態についても謎のまま。
そんな伝説の女性であることもあってか「アメリアの島」(ジェイン・メンデルソーン、早川書房)みたいなものまで生まれてしまうらしい。アメリアとフレッドのふたりが無人島で暮らしていた。愛の中で。遺族はなにも言わなかったのだろうか。
映画がどのような描き方をしているのかはわからないけれど、アメリア役にヒラリー・スワンクの起用はなかなかはまっていると思うのでちょっと期待はあるなあ。
ラスト・フライト アメリア イヤハート 松田 銑 作品社 1993-07 by G-Tools |
![]() | Last Flight - Amelia Earhart's Flying Adventures Amelia Earhart Trotamundas Press 2009-01 by G-Tools |
アメリア・イヤハート最後の飛行―世界一周に隠されたスパイ計画 (新潮文庫) ランドール ブリンク Randall Brink 新潮社 1995-06 by G-Tools |
アメリアを探せ―甦る女流飛行家伝説 (文春文庫) 青木 冨貴子 文藝春秋 1995-11 by G-Tools |
![]() | アメリアの島 ジェイン メンデルソーン Jane Mendelsohn 早川書房 1997-04 by G-Tools |
ゼリービーンズ (アニメージュコミックス) ふくやま けいこ 徳間書店 1993-12 by G-Tools |
のきなみ絶版。このタイミングで再刊・復刊しなくてどうする。
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