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HIROSHIMA REPORT

 もうひとつ NHK からみで。8 月 6 日放送の NHK スペシャル「封印された原爆報告書」を録画しておいて見た。ここにも日本陸軍の悪が見えて、なんとも腹立たしい。

 広島の原爆投下直後から、陸軍の医師らが広島にはいり、被爆者の調査をはじめていて、しかし、それは被爆者を治療するためではなく、原爆による被害の詳細な継続調査記録をアメリカに提供するためであったと。治療はされずに死に行くさまや、病態の変化を克明に記録することが目的で、生き延びた人の証言として「モルモットだった」といったことが話されていた。

 陸軍はすでに敗戦を確信していたのか、アメリカとしてもはじめて実戦使用した原爆の影響を詳細に知りたいはずだから、この記録は有効な切り札になると考えていたという。それを渡すことと引き換えに、敗戦後の交渉を少しでも有利にという腹積もりがあったのだとか。

 そして、それらの記録はすべて英訳されてアメリカに渡され、どうやら国内には残されていないらしい。

 原爆の爆心地からの距離に応じた効果を調べるのに使われたのは、小中学校の生徒たち。まとまった人数が一箇所にいたことから被害の大きさの変化を知るのに最適ということで使われたらしい。距離に応じて死者が何名、重症が何名と記された記録から、比率を表すグラフが作られていた。

 応援としてやってきた医学生が、強く残っている放射線によって二次被爆したことを知った高官が詳細な日記を書くようにと命じ、それもまた英訳されてアメリカに渡されていた。戦後、日本政府は一貫してこうした”入市被爆”は存在しないとして、被爆者として認定してこなかったらしい。たとえ、その資料はアメリカにしか存在しないので、知りえなかった事実としても、ではチェルノブイリにいまだに人が入れないようになっているのはなぜなのかとか、誰が考えてもわかるようなことが認められていなかったというのは、あまりに無責任というか。

 いかに日本陸軍が国民のことなど考えず、みずからの保身ばかりを考えていたのかと。さながら、それは、今の政治化が議員に当選し続けることに汲々として政治をしようとしないことと重なって見えたりもする。戦後 65 年がたった今も、ひょっとしたらこの国は本質的にはなにも変わっていないのではないか、と思ってしまったりもする。

 この番組に先立って放送された、吉永小百合さんの原爆詩を朗読する活動をまじえた番組での被爆者の悲痛の叫びと、この悲劇を世界にきちんと広めなくてはと活動されている人々とのギャップが、余計に憤りを強くするなあ。

 この国の戦後は、まだ終わってないのかもしれない。

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コメント

どうもお世話になっております。

この番組、拝見していないのですが、こういう不条理さや悲惨さこそが伝えられるべきことのように思います。
ご紹介くださって有難うございます。

ところで、この調査を陸軍は軍の保身のために行ったのでしょうか?
それとも、日本の国体の保持のため?
本音と建前、大同小異かもしれませんが、調査をする側はどういうインセンティブを持っていたのでしょうか。

たしかに、731部隊では研究者達の保身に効果があったようですから、恐るべきエゴイズムに基づいておこなわれたということが大いにあり得ると思います。
でも、日本の国体という一見エゴイズム的でない理由がきっと表面的に言われていたのではないかなあと思います。

こういう美名を持ち出されたときにも、事実を分析して否定できる力を得るにはどうしたら良いのか、それを考え続けることが戦争を否定することだと私は思うのです。


投稿: あきこ | 2010.08.13 05:49

番組内では結局明確な意図は示されなかったかと思うのですが、関係した方へのインタビューでは、731のこととかもあって、「これを渡すから、穏便に頼みますよ」という意図はあったと思う、といった発言はされていました。

交渉のカードとして使うというのはあるとしても、それがまったく被爆者にいかされなかったというのは、なんとも残念ですね。

一方で、昨夜の「玉砕 隠された真実」など見ると、やはり軍部はただただ「戦争をし続けたかった」だけなのではないかとの思いを強くしてしまうのです。

投稿: ムムリク | 2010.08.13 09:10

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