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”け”と”き”

 実のところ以前からなんとなく違和感があって、ちょっと気になっていたものの、考えるほどに必ずしも間違いというわけではないのかもしれない、という思いもあって、実際気持ち悪さはあるものの、はたしてどうあるのが正しいのか、適切なのか疑問にも思っていたのだった。けれど、ふとつぶやいてしまったのを受けて、さっそくに修正していただいたので、実に恐縮してしまうことになってしまった。

 ということで、少し考えてみる。

 違和感があるというのは、ウェブサービスなどの FAQ などでよくみかける次のような文言。

Q:○○は使えますか?

A:○○には現在対応しておりません。××をご利用いただけますようお願い申し上げます。

 「いただ”け”ます」ではなくて、「いただ”き”ます」ではないかと。”け”とするときに発生する”可能”の意味がなにか変な印象を与えてしまうような気がする。「××をご利用いただけますよ。だからそのようにお願い申し上げます」と読めば、読めるのだけれど、なんだかちょっと気持ち悪い印象を持ってしまう。絶対的におかしいというのではなく、なんとなく落ち着かない、気持ち悪い、すわりが悪い。そんな感じ。

 たとえば、単純に次のようであれば、なんの違和感もない。

問い:○○を使えますか?

答え:○○をお使いいただけます。

 「○○」を使うことができますよ、という可能を”け”があらわしている。仮に、これを”き”にしてみると、

問い:○○を使えますか?

答え:○○をお使いいただきます。

 となって、ややきつい印象になってしまう。「つべこべ言わずに○○使えばいいだろ」といった印象かもしれない。もちろん、そこまできついわけではないけれど、ややきつい印象は拭えないかもしれない。(もっとも、質問に対する答えにしてはやや妙な言い回しではあるけれど)

 といって、”き”が悪いかというと、そうでもなくて、

きょうはみなさんに、○○をしていただきます。

 と、教壇の先生や講師が言ったりするのは、ありがちなことかもしれない。確かに断定的な上からの表現かもしれないけれど、文脈や実際の口調などでは、必ずしもそういう印象だけともいえないのではないかと。

 そんな意味で改めて先の例を”き”で見てみると、

Q:○○は使えますか?

A:○○には現在対応しておりません。××をご利用いただきますようお願い申し上げます。

 となるのだけれど、さて印象はどうだろう。もう少しあらたまった言い方だと、「××をご利用いただきたく、よろしくお願い申し上げます」といった表現もある。あくまでもこちらの希望として、そうしてもらいたいというのであるから、可能をしめす”け”になってしまうのはやや気持ち悪く感じるのかもしれない。

 ただ、次のような例には、あまり違和感がない。

○○を使えるよう、ご検討いただけないでしょうか。

○○を使えるよう、ご検討いただけますと幸いです。

 あるいは、「ご利用いただけないでしょうか?」としてもいい。「使うことを可能にしてもらうことはできないですか?」(この表現自体は、あえて回りくどい言い回しに言い換えているので適切とは言い難いけれど)と問い掛けているのは、あまり違和感がない。こうなると、はたして”け”が間違いなのかどうか、だんだん不安にもなる。

 といって、両者は少し違うようにも感じる。強いていえば、FAQ の例に違和感があるのは、可能を感じてしまうということと、それによって過剰に丁寧になりすぎることとの弊害なのかもしれない。

 はてさて、国語的には現状どういう判断が適切なのだろう。

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