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デジタルフィーバー

 [ 電子書籍、電子出版についての考えと取り組み | smashmedia ]

 iPad の登場もあって、やや熱狂的な勢いだけが強調されて、「もう紙の本なんていらないね!」的な発言があふれつつあるけれど、ちょっとうかれすぎなんじゃないかな、とも思ったりする。いや、電子書籍というものの利便性は分かっているつもりだし(一時は関連する業界にいたわけだし)、モニタで読むテキストが嫌いとかってわけではない。ただ、なんでもかんでも全部デジタル化しちゃえばいいじゃん、デジタル最高! といった一時の高揚はちょっと違うと思うよ、と。大人なんだから。

 という点において、とってもしっくりくることを河野さんが書いてくれている。ようは、これまでの出版スタイルにデジタルな出版というものが、追加確立されて定着されていくのか、利便性が間違いなくあってそれを定着させるのであれば、どういう形態が望ましいのだろうか、といったことがきちんと考慮されてなければ、普及すらなく、かつてのように時期尚早などで消えていく、ということになってしまうわけで。そのあたりはきちんと考えられるべき。

そもそもぼくらは何を求めていたのかについてしっかり考える必要がありますね。価格の妥当性や再販制度が本当に必要なのかについても考えるべきだけど、それよりも出版という行為そのものの役割について原点回帰すべきだろうと。

そういう意味では電子出版なんてのはたいして普及はしないと思うし、市場も大きくはないと思うけど、個人レベルでも出版活動がより容易にできるようになっていくのはいいことだと思います。いまでもコミックや文芸は同人誌とかでできてるんだけど、ビジネス書や専門書などの分野にまで広がっていく可能性があるのはとても魅力的。

 これまではなかなかな出版ベースに乗せられなかったテキストを、簡便に出版できる可能性を開くという意味においては、非常に魅力的なところなんだと思う。


本当に価値のあるコンテンツは長々と書く必要はないし、じっさいに多くの書籍(とくに新書)は水増ししてますよね。同じ話ばっかり何度も出てくるし。ああいうのは時間のムダだし、資源のムダでもある。

 短くてもよければ、それこそ今ではブログなどでも十分かといえなくもないけれど、やはり後々の閲覧性など考えたら、ひとつのまとまった形になっているほうが便利。異なるデバイスで読むにしてもそうだし。その意味では、長いテキストよりも、むしろ短いテキストにこそ活用の場が広いともいえそうなのかも。

 良質のテキストがウェブに散在しているよりは、それがまとまった形で存在し、一定の場所で入手できる(有料・無料を問わずして)ということがもたらす利便性というのは、これまでにないものになるのかも。

 といって、紙の本の利便性をより感じてしまうので、個人的にはどちらをということでもないのだけれど、場所を占めてしまうという観点では、一定のものは電子書籍で持てたら便利かも、と思わないではないです。検索性もいいですし。

 その意味では、加除式法令集などは電子書籍化することで、かなり利便性も向上するし、出版コストも大きく下がるはず。追録の発行も不要になるうえ、なにより加除作業がいらない。まあ、どうしてもというなら diff を応用して加除させるようにしてもよいけれど、ブロードバンドの普及した時代にあって、まるごと新しいファイルをダウンロードさせても、さほど負荷になるということではないのではないかと。基本、テキストなんだし。

 むしろ、編集作業が差分一発になると思えば、編集コストの削減は著しいのではなかろうかとも。

 そうした分野ごとの利便性や特質などを、十分に吟味したうえで、電子書籍というものを活用できていくのかどうかという、新しい段階がきているのかもしれないのかな。

 ということで、小さなことからはじめてみよう的なプロジェクトにはちょっと期待してみる。

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コメント

おっしゃるとおり、アップデートする類の本は向いてますよね。
なんでもかんでもではなくて、どういう本が、どういう人にとって便利になるのかをもっと考えるべきなのに、どうしてもお祭り騒ぎになってしまうんですよねえ。

投稿: 河野 | 2010.06.16 10:40

コメントありがとうございます。

かつての電子ブックの衰退とは違って、環境がよくなっているのだから、もっと多面的に考えていきたいですよね。

投稿: ムムリク | 2010.06.16 11:05

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