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バレンタインは雪あそび


4488248071バレンタインは雪あそび (創元推理文庫)
レスリー・メイヤー 訳:髙田 惠子
東京創元社 2010-02-10

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 本が好き!経由で献本していただきました。ありがとうございます。

 日本でのバレンタインもこのごろではだいぶ様変わりしてきた、というのは今年のワイドショーなどでもさかんに話題にされていて、女性から男性へなんておしきせはもうほとんどなく、義理すらもなく、むしろ自分たちで楽しむという傾向が強くなってきたらしい。一方で、アメリカの家庭では、カップケーキなどを焼いたりということが多いらしい。少なくともルーシーのまわりではそうだ。誰彼に送るとかよりも、家族などみなでお祝いする年中行事のひとつといった趣き。そもそも日本においてだって、お菓子メーカーによるキャンペーンにのせられてしまっただけなのだから、そろそろ変化があっても不思議ではない時期なのかもしれない。

 そんなバレンタインを前にした、厳しい冬をむかえたティンカーズコーヴの図書館の新しい理事に就任したルーシー。はじめての理事会に出席するべく図書館に行ったものの、そこで起きたのは、殺人事件。図書館の司書ビッツィが銃で撃たれて死亡しているのを、あろうことかルーシーが発見。犯人は理事のなかにいる可能性も考えられて、ホロヴィッツ警部補からの忠告にもかかわらず、またもや探偵気分で調べはじめてしまうのは、いつものこと。

 相も変わらず、いまひとつ捜査なのかなんだかわからない捜査が繰り広げられるのだけれど、日常の生活が気取りなく描かれていることこそ、このシリーズのよさなのだろうし、そもそもコージーミステリなのだから。調べているようで、話も興味もあちこちに飛び火し、ごくごく断片的な情報は、なんだか誰も彼も怪しく思えるものであったり。一向に推理は進行しないのも、これまたいつものこと。

 とはいえ、今回は以前に比べると混沌さはややおとなしいようにも。もちろん、結末は最後の最後にやや唐突なくらいにやってくるのだが(そしてあまりにも鮮明に)、まずまずそこへの伏線も悪くない。コージーミステリとしては、十分にワクワク、どきどきさせてくれ、微笑ましさやおなか一杯になるような食べ物の話題にもことかかず、きちんと収めてくれるあたりは、実に安心して楽しませてもらえる。

 いわゆる本格ものといわれるジャンルとは違い、トリックを楽しむとかではない分野として、十分にうまくまとまってきていて、そのあたりは作品を重ねている成果なのかもしれない。まさしく、雪に降り込められてしまった寒い日を、暖かな部屋のなかでのんびりとくつろぎながら楽しむのにちょうどよい一冊といったところ。これなら、次回作以降も楽しめそうな予感。



バレンタインは雪あそび
  • レスリー・メイヤー
  • 東京創元社
  • 987円
Amazonで購入
書評

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