エフィラ、メタフィラ
三週間ほど前の NHK 「熱中時間」でチリモンを取り上げていた。ちりめんじゃこに紛れ込んでいるじゃこ以外の生物を称して”チリモン(ちりめんじゃこモンスター)”と呼ぶ。小さなエビやイカ、カニ、ヒトデ、タツノオトシゴなどなど。
今となってはアレルギー問題などもあって極力排除されているそうで、食用として販売されているものにはほとんど見つけることがないそうだが、確かに以前小さなイカが入っていたこともあるなと。
そうして取り除かれたものを廃棄するのではなく、チリモンを探し出すことを楽しむためのちりめんじゃことして販売している。食用ではなくチリモンを見つけることを楽しむためのものなのに結構な売れ行きらしい。
紹介されていた男性は子供のころまぎれていた不思議な形をしたカニの幼生である”ゾエア”に魅せられたということだった。確かにこれがカニになるのか、という奇妙な形。けれども死んだ姿しか見たことがないので、なんとか生きたゾエア幼生を見つけたいということで漁船に同乗させてもらう。その場では発見できなかったが、持ち帰った海水のなかに見つけることができた。
それにしても海の生物の幼生には奇妙な形をとるものも多く、不思議な名前も多い。そんな不思議な名前の記憶が収束するのは「エフィラの想い」。高層ビルに囲まれた月夜の都会で繰り広げられる奇妙な物語。月とムーン・ジェリーフィッシュ、ミズクラゲ。
プラヌラ、ポリプ、ストロヴィラ、エフィラ、メタフィラ
エフィラは成長したポリプのストロヴィラから花びらのように雪片のようにひらひらと離れていく過程。月夜のビル群のなかをエフィラが舞い上がっていく風景。なんとも幻想的な不思議な語感が記憶に残っている。
そんな殿谷みな子(とのがい みなこ)の「エフィラの想い」が SFマガジンに発表されたのは 1980 年 6 月号。今となっては殿谷さんの作品は入手困難。「求婚者の夜」とか買っておけばよかったなあ。
#最近の動向は知らなかったのだけれど、結構出版されているらしい。
当然ながら絶版で、復刊ドットコムでも見込みは期待できそうにないなあ。
求婚者の夜 (ハヤカワ文庫 JA 116) 早川書房 1979-07 by G-Tools |
メモしておこう。
![]() | 私の祖父の息子 れんが書房新社 2009-05 by G-Tools |
鬼の腕―殿谷みな子作品集 れんが書房新社 1999-09 by G-Tools |
![]() | 着地点 れんが書房新社 2003-09 by G-Tools |
![]() | チリモン博物誌 幻戯書房 2009-06 by G-Tools |
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