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サム・ホーソーンの事件簿Ⅵ


4488201091サム・ホーソーンの事件簿VI (創元推理文庫)
木村 二郎
東京創元社 2009-11-30

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 本が好き!経由で献本していただきました。ありがとうございます。

 不可能犯罪シリーズということで、概ね密室事件がちいさな町に頻発。手を変え品を変えてトリックを披露してくれる。30 ページ程度の短編ばかりなのでちょっとした時間に楽しむにはちょうどよい短編集。

 まあ、町の人々がすべて顔見知りのような小さな町でそこまで事件が起きるかとか、30 分 50 分で毎週事件を解決してしまうアニメやドラマのように抜群の観察とひらめきであっさり解決してしまうとか、いろいろ思うところはないではないけれど。

 なんとなく終始違和感を覚えてしまうのは、あまりにも単純にトリックも犯人もわかりすぎてしまうこととか、多少無理があるような解決に思える事件もあるせいなのかもしれない。

 ある意味ではこの作品が書かれた年代がやや古いというのも関係するのかもしれないかな。

 とはいえ、ちょうど第二次大戦勃発から終わろうかというあたりの史実と合わせつつ語られるあたりは、面白い味付けにはなっている。昔語りのスタイルでホーソーン先生自身によって語られるというのも親しみやすく、軽い感じのこの作品には似合っている。

 謎解きを楽しむというよりは、この町の物語を楽しむということでいえば、近年増えたコージーミステリの雰囲気を持っているというほうが近いかもしれない。ちょっとした空き時間の退屈しのぎにはちょうどよいともいえるか。

 それぞれの短編は独立しているので、順に読まなくては話が見えないということはないようだけれども、歴史の時間軸を織り込みつつ時代を経ていくことを思うと、もしも興味があればシリーズはじめから順に読むほうが面白いかもしれない。

 しかし、いずれにしてもこれほど多くを書いたというのはたいしたものだなというのは間違いないか。ホーソーンシリーズは全6巻72話あるのだから。

 ちなみに訳者の木村二郎さんと解説を書かれている木村仁良さんは同じ方という理解でよいのだろうか。


#旧本が好き!サイトのドメイン処理の不備により、意図しないリンク先となってしまうということで旧アドレスへのリンクを消去しています。(2012/02/12)

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