パイレーツ -掠奪海域-
パイレーツ―掠奪海域 (ハヤカワ・ノヴェルズ) 酒井昭伸 早川書房 2009-12-09 by G-Tools |
本が好き!経由で献本していただきました。ありがとうございます。
昨年亡くなったクライトンの PC のハードディスクから見つかった原稿ということで、正直ちょっと眉をひそめたわけではあります。この手の話はどうも怪しい感じも多いような気がするのと、仮に本当であっても未完であったり、十分な推敲がなされていない状態であれば、クライトン本来の面白みはないのかもしれないという不安もあったので。
真実本人の手になるものだったのかどうかは確かめようなどないので、それはともかくとして、物語としてはきちんとまとまっているし、十分に楽しめる冒険談になっていた。すでにして映画化決定なのだそうだが、さながら映画を読んでいるような物語の展開はいまからその完成が楽しみなくらい。
舞台は 1665 年のジャマイカ。総督のオルモントから、とてつもないお宝船を奪取できそうな情報を手に入れた私掠船船長のハンター。総督と内心共謀する形で宝を頂戴しようと計画。ただ、その場所は難攻不落で知られる要塞島。先ごろも仲間内で襲撃に失敗したばかり。
島の情報を得て一計を案じたハンターが、信頼のおける仲間を集めて船を出したものの、途中敵戦艦に拿捕されてしまう。すきを伺ってなんとか逃げ延びて要塞島に上陸するも、尋常でない進攻は困難を極める。かろうじてお宝船の奪取に成功はするが、その先もまた苦難の連続。
途中まではあまりにあっさりと進むので、ちょっと興味を失いかけるのだが、次々と展開が変わっていくためになかなか目が離せない。多少無茶苦茶なところもあるにはあるが、そこは大航海時代のこと。映画「パイレーツ・オブ・カリビアン」ではないが、多少はファンタジー要素があったりいろいろしても、そのあたりには目をつぶってひたすらに展開の面白さを満喫すればいい。
財宝あり、女あり、海上そして陸上での戦闘あり。ハリケーンに豪雨、などなどこれでもかと繰り出される。ようやくの思いでジャマイカに戻ってくるハンターたちを待ち受けていた展開は、さらなる展開で、なかなか心憎い。ややあっさりした最後の件が解決したあとは、まさしく映画然とした結末を迎える。
たしかに多少まだ荒い印象も拭えなくはないけれど、十分に大航海時代の冒険を楽しめる作品にはまとまっているのでは。すぐれたエンターテインメントのストーリーテラーだったのだなと、あらためて実感した次第。
献本していただいたものは未校正の見本であるため、随所におかしなところが散見されたので、実際の完成版がどうであったのかも気になるところではあります。ぜひ、完成した販売本で生き生きとした物語を体験してください。
パイレーツ・オブ・カリビアン ワールド・エンド [DVD] ウォルトディズニースタジオホームエンターテイメント 2009-11-18 by G-Tools |
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