専門医が答える肝臓病何でもQ&A
![]() | 増補新版 専門医が答える肝臓病何でもQ&A 協同出版 2009-11-10 by G-Tools |
本が好き!経由で献本していただきました。ありがとうございます。
肝臓病といえば B 型・ C 型肝炎などが思い浮かびますが、肝臓にまつわるさまざまな病状について治療法などを Q&A 形式で書かれた本。
肝炎ひとつとっても著名なのは B C 型の各肝炎ですが、実際にはほかにも型はある上に、それぞれにも異なるタイプがあったりするというのは知らずにいたのでした。そのタイプによっては治療薬の選択が異なったり、治癒率が異なったりと、なんとなく考えていた肝炎も、どうやら複雑な面が多いようです。
自分自身が病気になったときはもちろんのこと、家族が病気になったり友人・知人が病気になったときに、もっとも大事なのは間違った知識で接してしまわないことなのではないかと思っています。間違った知識や考えで接することで、患者の治療しようという意欲をそいでしまう例は少なくありません。また、怪しい治療法を勧める金の亡者の徘徊を許すことにもつながります。
Q&A 形式の本書は、適切な情報をわかりやすく丁寧に書かれており、さらに知りたい項目を拾い読みできるという Q&A 形式だからこその読みやすさにすぐれています。
どうしても専門用語は多くなりますが、可能な範囲で説明もされていますし、全般に文章が柔らかいので理解の助けになります。なかには具体的な解説のないままの用語もあるのですが、それはそういうものとして読み流しても全体の理解を損ねることはありません。できれば、巻末などにそうした用語の解説があってもよかったかもしれませんが、今であればネットで調べることもできるので、ひとまずは適宜追加で調べてみるというところでしょう。
難を言えば Q&A であるがゆえに同じ説明が繰り返されてしまう傾向が強く、通読するにはやや向きません。目次から知りたい項目を探して、その部分を読むという読み方が想定される Q&A ですから止むを得ませんが、相互の項目を参照させるようにして、もう少し重複を避ければ全体の量を減らしたり、あるいはさらに情報を充実させるためにページを割くといったことも可能だったかもしれません。
また、時々に応じて気になる項目をパラパラと見る。知りたい項目を調べるといった使い方が主となるであろう Q&A なので、上製本よりも並製本のほうが扱いはよかったのではとも思います。辞書のように何度となく開いて見るという使い方にはハードカバーは使い勝手があまりよくありません。
肝臓は耐えて耐えてどうしようもなくなってから悲鳴をあげる臓器だけに、わずかな兆候を知ることが大切です。治療についても進歩している現状を正しく知って、たとえ不測の事態が起きたとしても恐れずに対処できるようにしたいものです。
症状の細かな違いによる治療方法の説明や、それら治療薬がどのように作用するのかなどについても丁寧に解説されており、不安の多くを解消して治療に取り組む勇気を与えてくれるといってもよいかと。
肝臓病の方やご家族の方などには、一読をお薦めしたい一冊です。
RNA ウィルスということもあり、注目の RNA 研究の進展があらたな治療の発見につながる可能性も秘めているのでは。
![]() | RNAルネッサンス 遺伝子新革命 医薬経済社 2006-06-08 by G-Tools |
#旧本が好き!サイトのドメイン処理の不備により、意図しないリンク先となってしまうということで旧アドレスへのリンクを消去しています。(2012/02/12)
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