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スパイラル

 NHK の「マネー資本主義」が終わった。はじめは糸井重里さんが「なるほどよくわかった」といったことを初回の感想として書かれていたので、やっぱり見ておくかと再放送から見始めたのだった(本放送は映画かなにかを見ていたのだと思う)。

 サブプライムローンやこの金融危機を引き起こしたしくみはどのようなものだったのかということを、インタビューも交えて詳しく解説してくれていて、確かになるほどと首肯するものがあった。

 リスクが見えにくくなった金融商品。利益をもとめてむらがった(あるいは誘われた)多くの年金基金。そうした金融商品を生み出すことになった金融工学。リスク回避を数学や科学で導きだした。

 金融工学が悪だったという人。いや悪いのは運用した愚かな人間だという人。

 けれど、根本をいえば年金の回で盛んにキーワードとしてでてきた「強欲(グリード)」ということにつきそうな気もする。金融商品を作った側も、それを購入して運用した側ももっと稼ぎたい、稼がなくてはという欲が強すぎたのは間違いないところでは。(もちろん稼ぎたい・儲けたいという意識、それ自体は絶対的な悪ではないけれど)

 金融工学の回では、リスクを結局見えにくくしているだけで、リスクがなくなってしまうわけではなく、にもかかわらずリスクがないかのように思ってしまうことが、そもそも間違いで、それを新しいテクノロジーなのだと信じて疑わない狂気。あくまでも数学的に、統計学的にリスクを見ているだけで、現実を見ていない。幻を信じているような状態とでもいおうか。

 かつてそうした商品の開発を手軽に行うためのソフトウェアを開発していたエンジニアは、このままでは大変なことになるのではと当時考え、後に金融界を後にしたという。今は牡蠣の養殖をして生計をたてていて、「収入は当時と比べて大分違うでしょう」といった質問に対して「金がすべてじゃない。生きていくには十分さ」と答えていたのが印象的。

 一方で、金融商品開発に関わった数学者は、今あらたな商品「カタストロフィー債」を開発して売り出そうとしているとか。「テクノロジーの問題はテクノロジーでしか解決できない」と言っているのが背筋に寒さを感じる。問題の本質を見ようとせずにあらたな技術で解決したところで、またあらたな問題を生じるだけであるのは歴史がすでに示していると思うのだが。

 その繰り返しを続けるうちに、もはやその問題がいったい何に起因しているかもわからなくなってしまう。付け焼刃的に新しい技術で対処しようとするよりも、まず根本を見つめなおすことこそ本当は大切なのではないかな。

 「カタストロフィー債」などといっていては、結局なにも学んでいないということになるような気がする。

 CDS という金融商品を生み出した女性は、後に投資家の側がそうした商品をさらに増やすよう求めたことを受けて、モンスターを作ってしまったのかもしれない、といっていた。負のスパイラルに入ってしまったとでもいおうか。そうしてどんどんリスク観念が消えていった結果が、金融危機。

 はたして本当の意味で回復できる日はくるのだろうか。

 余談としては、最終回のゲストのひとりが糸井さんだった。なんだか、してやられたのか、という思いもあったけれど、なかなか有意義だったからまあいいか、などと思ってもいる。

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