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ぶたばあちゃん


4751514458ぶたばあちゃん
ロン ブルックス Margaret Wild Ron Brooks
あすなろ書房 1995-10

by G-Tools

 本が好き!経由で献本していただきました。ありがとうございます。

 絵本としては難しい「身近な者の死」「死生観」といったものに取り組んだ作品。

 人そのものにしてしまうとテーマが重過ぎるということもあってか、豚の姿を借りて描かれているところは工夫としてもよい感じ。ほとんどの子供にとって生きている豚はさほど身近な存在ではないと思うので、いってみれば他人事として客観的に見られるのかも。

 これが犬や猫であったらちょっと身近すぎて、抵抗を覚える子供もあるかもしれない。それでいて愛らしいイメージで描けるという点でもなかなかうまい選択だったか。

 全体として「死」という言葉もイメージも一切ない。なんとなく匂わす雰囲気だけで描いているのは意見の分かれるところかなと思うし、実際ちょっと抽象的すぎるのかもしれないとは思う。

 けれども、孫むすめとあちこちを見納めるために回っていく描写は、なかなかに胸に迫るものもあるし、なるほどと思わせてくれる。もしもそういうことが可能な最後(恐らくは体力的にということになるだろうけれど)を迎えられるのならば、そんなふうになにかを伝えられたら、それは素晴らしいことかもしれない。

 残念なのは、そんな抽象的な風景のまま突然に物語が終わってしまうこと。最後の絵を見ればすべて語っているでしょ? ということだろうとは思うが、子供に向けた絵本ということを思えば、子供にとっては意味不明・理解不能なまま終わってしまって「で、どうなったの?」と問い掛けたいところなのでは。

 難しいところだというのはわかるのだけれど、せっかくそうしたテーマを選んだからには、もう少し踏み込んでもよかったのではないかと思うし、またそうでなければ意味がなかったのではないかとも思う。中途半端になげてしまったという印象が残ってしまうのは残念。それくらい唐突な終わりかた。

 もっとも、そもそも小さな子供にそれを分からせようなどということは、無意味なことなのかもしれない。わからないままでよいことも、その時代にとっては必要なことなのかもしれない。


#旧本が好き!サイトのドメイン処理の不備により、意図しないリンク先となってしまうということで旧アドレスへのリンクを消去しています。(2012/02/12)

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