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主催者側の発表

 いろいろのイベントなどがあると集まった人数などが発表されるが、「主催者側の発表」と「所管警察の発表」などとがあって、得てして「主催者側の発表」は丼勘定になりがちな傾向があるような気がする。まあ、どちらにしても正確に数えているというものではないので、どちらが正しいというわけにもなかなか言えないものなのだとは思う。

 「落談 まさし版 三国志英雄伝」にも言うように、中国のお話というのはとかく大きくなっている。あくまでも主催者側の発表なので、実際はこれくらいであったろうと割り引いて解釈しておくのがよかろうか、などと。

 さて。

 arton さんにコメントいただいたように、自分では気づかなかった視点を気づかせてもらえるのはありがたいです。ただ、解答を早く出さないとなにが問題なのか見えてこないので、遅れていたけれど公開します。

 では、例の実験クイズの出題者側の解答です。

 クイズそのものは次のようなものでした。(実際の記事のスキャン画像は先のページをごらんください)

水を七分目ほど入れたグラスと空のグラスに、八つ折りにしたティッシュの帯を二本掛けます。五、六時間置くと水は半分だけ空のグラスに移ります。次に、グラスを三個、台を使って段違いにして置きます。最上段のグラスにだけ水を入れ、それぞれのグラスにティッシュの帯を二本ずつ渡します。五、六時間すると、さて、今度は水はどうなっているでしょう。

A 中段のグラスにほとんど移り、下段は空のまま。
B 中段、下段のグラスに半分ずつ移っている。
C 下段のグラスにほとんど移っている。

 解答は次の通り。

C「水は、ティッシュの繊維の毛管現象で、まず上まで吸い上げられます。上まで引き上げられると、水は高い方から低い方へ流れます。この原理で、ティッシュが吸収した水を除いたほとんどの水が、次々と下段のグラスに移るというわけです」
Answer


 どうもわたしの実験はやりかたが間違っていたようです。

 そこで新聞社に問い合わせてみました。


4月6日付け朝刊に掲載の「頭のストレッチ 親子で実験」の解答は間
違っているのではないでしょうか?
少なくとも図示されたものと解説文から判断するに、ティッシュに吸収
される分を除いた水のすべてが一番下のグラスに移ることはありえない
かと思われます。(少なくとも5・6時間でそのようになることはない
と思います)
もしも、すべてが移動するとすれば、グラスの底面よりもしたまで次の
グラスへたらしたティッシュの先がこなければなりません。問題からは
そのようには見受けられませんでした。

また、2番目から3番目に移動し始めるのは、3番目にたらしたティッ
シュの先端よりも、2番目のコップの水位が高くなるときにはじめて移
動を開始します。しかし水位とティッシュ先端との高さの差が小さいう
ちはその移動速度は微々たるものでしかありません。
したがって、5・6時間後に半分ほど移動したという前提でみても、そ
のすべてが3番目に移動することは無理です。

#次のグラスに垂らしたティッシュの先端と、前のグラスの水面の高さ
が同じになった時点で水の移動は止まってしまいます。

実際に手元で検証してもこの通りのようですので、ご確認をお願いでき
ればと存じます。


 この問い合わせに出題者側(新聞社ではなく、配信元の通信社)は次のように回答してきています。

 「どうなる?グラスの水」について、ご質問をいただきました。

 この実験は毛管現象のおもしろさについての実験です。圧力の違いで水が流れるサイフォンの原理と混同しがちですが、この場合はティッシュの繊維をグラスの水が表面張力によってはい上がり、ティッシュの折れたところからは重力で流れ落ちるという仕掛けです。ですから、ティッシュの長さが関係するとすれば、はい上がる高さの方で、2番目、3番目に垂らしたティッシュは長くても短くても構いません。水位とも関係ありません。
 私が行った実験では水は3つ目のグラスにほとんど移りました。貴殿の検証ではうまくいかなかったようですが、何が原因か分かりません。もう一度行ってみてください。水の移動が目に見え、ご理解いただけると思います。


 なるほど、一番下のグラスにほとんどすべて移るのが「科学的に正しい」ようです。ティッシュの長さも水位も関係ない。(這い上がる高さは確かに計算で求められる限界があります。arton さんにご指摘いただいたティッシュの長さは関係ないと、出題者はいわれていますね)

 世紀の大発見がこんなにも身近で簡単に実現できたなんて。これはすぐにでも特許庁へ申請にいかなくてはなりませんね。まさに神業!

#詳しい解説は、現在再度の問い合わせ中につき、後日に。(なんていわずにすぐに公開すべか?) あえて言えば、先の標準モデルとした実証実験においても、本来であればすべての水は一番下のコップに移動しなくてはおかしい、といっているわけです。水面よりも上にあるティッシュ先端から水が出てくるといっているわけです。さて、これでいったい何ができるでしょう?

#ちなみに、間違っても本当に特許庁へ申請になど行かれませんように。門前払いされるだけですので。


あなたの結果を教えてください: つらつらぐさ
標準モデル結果: つらつらぐさ
主催者側の発表: つらつらぐさ
ひとまずきれいな画像をあげなおしておきます: つらつらぐさ
ひとつの結果: つらつらぐさ
分かっているのかなあ: つらつらぐさ
ひとつの結果(2): つらつらぐさ
ひとつの結果(2)の2: つらつらぐさ
意見には個人差があります: つらつらぐさ
Cのための2つのモデル: つらつらぐさ
問題の問題と回答の怪と: つらつらぐさ
LE PETIT PRINCE: つらつらぐさ

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コメント

隣のグラスの水位より上にティッシュの先端がなければならない=長さは関係ないとは言えるけど、実験するときは、長さを調整すると思いますけどねぇ。

投稿: arton | 2009.06.09 15:52

すみません、ちょっと意味を読み取りきれないので、もう少し説明してもらえますか?

投稿: ムムリク | 2009.06.09 16:36

あ、たとえば初期状態で、上のコップの水位よりも高い位置に中のコップに渡したティッシュがあるというようなことはしない、ということですか? そうであれば調整するだろう、と。

わたしのいいたいのは、水が移動していった後に水位とティッシュ先端(中のコップに入っている部分)が同じ高さになった時点で移動は止まるので、上のコップの底面よりも高い位置にそもそもティッシュ先端があるのであれば、それ以上水の移動はないはずだというものです。

実際、図面から見てとれる位置関係も、わたしにはそう見えるのですが。

投稿: ムムリク | 2009.06.09 16:46

もし、ティッシュの両端が水に触れていたら、両側から水が毛細管現象で吸い上げられ、両側へ落ちるはずです。したがって、平面では両方のコップの水位が等しくなると推測できます。
階段状に並べた場合、低いコップ側の水面にティッシュが触れなければ、そこまで水が落ちるので、ティッシュの位置によってはすべての水が下のコップへ移動できます。
その場合には、ティッシュの先端が下のコップの水面より上になるように配置する必要があり(そうでなければ両側から水を吸うことで水位が釣り合ってしまう)、元の絵では水の量と高低差からそのように配置されているように読み取れるということです。

投稿: arton | 2009.06.09 23:35

はじめの両方のコップの水位が等しくなるはその通りですね。

二番目ですが、すなわち空のコップの側のティッシュ先端の位置が、水の入っている上側に置かれたコップの底の高さにあればすべての水が下側の空のコップに移動できるのですが、よろしいですよね。それよりも上にある場合には、ティッシュの先端の高さと減っていった水の高さが同じになったところで移動は止まります。

平面においたふたつの図ですが、ティッシュの大きさはよほどでない限り規格品でみな同等ですよね。この図では水のある側はコップの底あたりに達していて、隣の空のコップは中ほどまでになっています。わたしにはそう見えますが、違うでしょうか。

段差をつけたほうで異なる(すなわち小さい)コップに替えるとは説明されていませんし、あえて変えなくてはならないというのも変です。とすると仮に 50:50 に真ん中から二つ折りにしてティッシュを渡しているとすると、コップの底にはどちら側も届いていないということが想像できます(少なくともこの例では)。この場合、すべての水が移動することは不可能になりますが、いかがでしょうか。

そもそもそこまで深読みしなくては実現できない特殊な条件で行うとしたら、もはや「親子で実験」というところから逸脱するとも思うのですが。

#そうした細かな要素(コップの大きさ、ティッシュの渡し方、段差の大きさなど)が絡んでくるにも関わらず、それらが規程されないままもっとも限定された条件の結果に必ずなるというのが、一番の問題だとは思っています。

投稿: ムムリク | 2009.06.10 11:02

拡大の図はわかりやすいですね。
段差のあるほうは、あの図をみると、上側は底にティッシュがついていて、下側はコップの縁よりちょっと下にあるように見えます。したがって、上にコップの水はすべて吸い上げることができ、かつ下のコップに移った水はティッシュに触れないという条件に合うと思います。
結局、見たとおりにティッシュを垂らせば良いのだと思いますよ。
しかし、なんか特に下の2つのコップとティッシュの関係はエッシャーの絵のようなずれがあるように見えますね。(段差よりもコップの縁の高低差のほうがはるかに大きい)そこが、問題なのかも知れませんね。

投稿: arton | 2009.06.10 19:10

はじめに示した問題の画像はちょっとはっきり見えなかったのは確かですね。失礼しました。

ただ、この図はあくまでも「こういうイメージですよ」という説明にすぎないとわたしは思います。本文では「グラスにティッシュをわたす」としか書かれていないので、そのイメージを示したにすぎないと思うのです。

家庭にあるグラスの大きさはそれぞれにまちまちでしょうからいろんなパターンがありうるけれど片方(水のある側とでもいうのか)は底に届くようにしてねという程度の(ま、それも明示されているわけではないのですが)。

イメージなので最後におっしゃるように微妙なずれというか妙な配置になってしまっていますよね。

つまり、それだけ厳密に考えてはいないというところではないのかなと思います。家庭にある適当なグラスとなにか段差にできるものを用意してやればいいですよ、と。

それでいてCの結果になるためには、複数の条件をきちんと整えないと不可能なので、その答えは間違っているのではないかなと思ったしだいです。さらに、その問い合わせへの回答でとんでもない間違いを露呈しているので驚いているというのが正直なところです。(本当に実験しているとはとても思えないのです)

#「標準」といってしまったのは、あるいはちょっと強引だったかもしれませんね。

投稿: ムムリク | 2009.06.11 09:59

標準モデル結果のほうにもコメントを追加しましたが、あちらでの「図のイメージに近い」という表現はやや不適切なので表現を改めました。

投稿: ムムリク | 2009.06.11 19:33

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