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新編百物語


430940751X新編 百物語 (河出文庫)
志村 有弘
河出書房新社 2005-07-05

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 京極夏彦の書く作品がこうしたもののなかから材料をとっている、ということをあらためて実感したという点においては発見だったが、やはり古い文章のせいなのかいまひとつ面白みには欠けるような印象だった。

 淡々と語られるだけだったり、尻切れトンボだったり。ゾクッとするようなところもあるのだが、総じて「それで?」と思う間に終わってしまうというのが時代の違いなのかもしれない。

 資料や翻訳に手間がかかっているということもあるのだろうけれど、この分量を思うとちょっと高いなあというのが難点か。むしろそのもの(耳嚢であるとか)をありのままに読んでみるほうがあるいは面白いかもしれないか。

 逆にいえばそうしたちょっとした面白みの部分をうまく小説に生かしているというあたりは、京極夏彦のうまさなのかもしれないなと思ったり。とはいえ、作品そのものに注力するよりも印刷された体裁にこだわりすぎる性癖はどうにかしてもらいたいものだなあ。新作がちっとも読めやしない。

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