神の家の災い
![]() | 神の家の災い (創元推理文庫 M ト 7-3) 古賀 弥生 東京創元社 2008-11 by G-Tools |
本が好き!経由で献本していただきました。ありがとうございます。
中世の修道院での殺人事件ということで、なんとなく「薔薇の名前」のようなものを連想してしまったがまったくそれとは違った。まあ、エーコのそれと比べることがそもそも無理なわけではあろうけれど。
全体としては新鮮な感覚で楽しめた。なによりも主人公ふたりのキャラクター造形が面白い。わけてもクランストン検死官の飲みっぷりはそこまで飲むかという感じで、よくそれで職務が勤まるなあと心配になるくらいだ。
クランストンと修道士アセルスタンが解決するのは(といっても実質的にはアセルスタンが解くわけだが)、クランストンが巻き込まれた権力絡みの密室事件。かつてアセルスタンが在籍していた修道院で起きた連続殺人。アセルスタンみずからが守っている教会で発見された白骨遺体をめぐる事件の三つ。
ただ、どの事件もふいに解決してしまうような展開がちょっと残念にも思う。ミステリの面白さとしては基本的に読者が推理できるだけの材料を提示したうえで、謎解きにいたるというのが理想であったり、面白みだと思うのだが、確かにそのヒントとなる気づきは書かれるのだが、そのあたりがやや秘密にされてしまっていきなり謎解きになってしまう。どこでそれがわかったのだろうと思ってしまうくらいに。そのあたりがやや唐突さに思えて残念。
修道院での殺人事件についても、どこかに送った使者が持ってくるものに期待しようといっているが、いつどうだったのかがよくわからないままだった。おそらくここであろうと思う箇所はあるのだが。で、結局それが解決の決定的な材料になるのだが、そこにいたる過程もやや不思議があったりして。
謎解きを楽しもうとするとやや難があるミステリだとは思うが、珍しいシチュエーションでの物語の展開を楽しむという点においては十分に魅力的で、すいすい読ませてくれる。シリーズ3作目ということで、前作がどんな展開だったのかわからないが、このあたりが改善されたらよりミステリとして充実するのではないかなと。

神の家の災い
- ポール・ドハティー/古賀 弥生 訳
- 東京創元社
- 987円
書評/ミステリ・サスペンス
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