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地球温暖化の予測は「正しい」か?


4759813209地球温暖化の予測は「正しい」か?―不確かな未来に科学が挑む(DOJIN選書20)
江守 正多
化学同人 2008-11-20

by G-Tools

 本が好き!経由で献本していただきました。ありがとうございます。

 闇雲に不安をあおるばかりの怪しい本や、ひたすら批判することだけが目的の本を読むよりも、まずこの本を読め。というのが率直な感想。

 著者は地球温暖化の気候モデルによる予測研究に携わっており、実際の予測作業がどのように行われているのか、その予測が意味することはどんなものなのかについて実に謙虚にけれども誠実に、そしてなによりも一般のわたしたちにも可能なかぎり理解しやすい言葉で説明してくれる。

 何よりもこの本の肝は、地球シミュレータを使った気候モデルがどのように作られているのかというその仕組みや考え方を、大胆に概説しているところ。

  • フォートラン(Fortran)で書かれている。
  • 予測は物理法則による方程式を計算して行う。
  • 現在の大気と海洋の状態からスタートし、10分先、そして10分先、さらに10分先くらいの間隔で計算をしていき100年先までを計算して求める。
  • 気候モデルに与えられている現実のデータはごくわずかで、物理の方程式を解くことで結果を求めている。
  • 予測する解像度は100キロメートル程度のグリッド。
  • グリッド内の細かなミクロの現象は半分の理論と半分の経験則などから導き出すパラメタ化という作業で算出している。

 などなど。

 さらにそこから導きだされた結果や IPCC の報告が意味しているのはどのようなことなのかを丁寧に解説している。予測の幅があるのはなぜなのか、そしてそれはどういう意味を持っているのか。


気候モデルが半経験的な部分を含むとはいえども、物理の法則に則っている以上は、そうそう好きなようには結果が変えられないということを意味しています。同時に、気候モデル研究者たちは、そうそう無理やりに過去のデータにモデルを合わせようとしているわけではなく、けっこう正直にやっている、ということも意味しているように思えます。


もっとも、解釈にかかわる部分については、僕がいうことだけすべて信じろというつもりはありません。温暖化予測の専門家である僕はその意義や問題点をほかの人より正確に理解しているつもりですが、逆に「温暖化予測業界の論理でしか考えられなくなった」ゆえに見えにくくなっていることもあるかもしれません。できればほかの人の意見と読み比べて、僕の書いていることが「正しそうか」、ご自身で判断してみてください。


 とかく無知な一般人であるわたしたちは、不確かな権威の発表する不確かな主張に踊らされてしまいがち(レジ袋ばかりが悪者にされているような現状であるとか)。無駄を省いたりつつましい生活を目指すことも大切ではありながら、もっと本質的な地球の現状を知るということは意識のもち方により確かな影響をもたらすのではないかなと。


#旧本が好き!サイトのドメイン処理の不備により、意図しないリンク先となってしまうということで旧アドレスへのリンクを消去しています。(2012/02/12)

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