待ちに待った個展の夜に
![]() | 待ちに待った個展の夜に (創元推理文庫 M ホ 7-4) 安野 玲 東京創元社 2008-10 by G-Tools |
本が好き!経由で献本していただきました。ありがとうございます。
ごく身近なところでの事件を探っていくというもので、実に軽めな物語。ミステリ風味とロマンス小説風味がゆるくまとめられたというのが印象。
事件としては友人の息子が死亡したことを受けて、友人の娘や友人本人、近隣の知人らをめぐるさまざまな秘密が明るみにでていく過程で、それぞれの人生模様が描かれる。原題の BETRAYED IN CORNWALL を直訳すると、物語にひそむものがどんなものか想像できるのだが、あえてそれを避けて邦題をつけてある。とはいえ謎ときというわけでもなく、ひたすら物語りの展開を読者は追うだけで、あっさりと結末はおだやかにやってくる。その意味でミステリとしては物足りなさは否めないかもしれない。
ただ、謎解きが主題ではなくてコーンウォールに暮らす人々の姿そのものが、その風景そのものが主題のようなので、ひたすら物語を追えばよい。気軽に読めるという点でさながら赤川次郎のそれにも似ているかもしれない。
残念なのは名前がちょっと判別しにくいところもあって迷うことが時折あったことか。似たような名前であったり、会話しているなかでファーストネームで呼んでみたりセカンドネームで読んでみたりとマチマチになっていることもあって統一感にかけるあたりも気になる。
もうひとつが会話のなかに別の会話がはいってしまうという書き方。会話のなかで別の誰かと話したことを伝えようとするときに、いきなり別の誰かとの会話の部分が地の文も含めて展開されてしまう。うっかり読んでいると急に話し相手も場所も変わってしまってなんだかわからなくなってしまう。そしてそれが終わると、「再現を終えると」といった具合にして元に戻ってしまうのだ。新しい独創的な手法なのかもしれないが、お世辞にもよい手法とはいえないと思う。
総じていえば翻訳がじつにすっきりとしていて読みやすく、リズムを崩さない。安心して読めるなと思ったらさきの「掠奪都市の黄金」の訳者と同じ方であった。
ところでカバーに重大な誤植があるのだが、気づかれているのだろうか。原題のつづりが間違っている。BET[R]AYED であるべきところが BET[Y]AYED となってしまっている。なんと読むのか悩んでいるうちになかを見たら別のつづりがでていて、結局間違いであるとわかった。
ボライソーというとやはりこれを連想してしまうのだが。
![]() | 若き獅子の凱歌―海の勇士/ボライソー・シリーズ〈28〉 (ハヤカワ文庫NV) Alexander Kent 高橋 泰邦 早川書房 2006-01 by G-Tools |
となればこちらもあげずばなるまい。
![]() | 海軍士官候補生 (ハヤカワ文庫 NV 36 海の男 ホーンブロワーシリーズ 1) 高橋 泰邦 早川書房 1973-02 by G-Tools |
DVDは知らなかった。
![]() | ホーンブロワー 海の勇者 DVD-BOX1 セシル・スコット・フォレスター ハピネット・ピクチャーズ 2004-07-23 by G-Tools |
コーンウォールといえば。
![]() | MASTERキートン (9) (ビッグコミックス) 勝鹿 北星 小学館 1991-07 by G-Tools |
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