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ミスター・ミー


4488016464ミスター・ミー (海外文学セレクション)
青木 純子
東京創元社 2008-10

by G-Tools

 本が好き!経由で献本していただきました。ありがとうございます。

 ロジエの「百科全書」という書物を探求する 86 歳の老人。その探求のためにコンピュータの導入とインターネットの世界を知ることになる。検索の結果行き着いたのはなぜか全裸の女性が本を読んでいる画像。その女性が読んでいたのは「フェランとミナール」。

 ふとしたことから友人となり同居することになったフェランとミナール。浄書を依頼されたロジエの「百科全書」と思われる原稿をめぐって、同じアパートで知り合った女性が殺されているのが発見され、ふたりはひそかに彼女の生地に行くことになるのだが、そこで待っていたのはジャン・ジャック・ルソー。ミナールはルソーこそが彼女を殺した犯人であると推論することに夢中になる。終始勘違いも甚だしいふたりの逃避行。

 ルソー研究をするフランス文学教授ペトリ氏。教え子のルイーザはひょっとしたら自分に気があるのではないかと思い始め、どうにもルイーザの様子もそれを否定できない。サークルと称して彼女と話し合ううちに次第に思いはつのり、さてその思いをどうしたものかと悩む。病床にある彼が思い出しつつ綴る記録。

 なにやら互いに関連がありそうでいながら、不思議な三つの物語が順繰りに語られていく。老人が見つけた「フェランとミナール」という本を書いたのはペトリ博士であり、ルソーの「告白」の中で登場するというフェランとミナール。

 老人のもとには大学生のカトリアナが訪れるようになり、これまで独身で世間とも隔絶した生活をしていた老人の生活にさまざまな変化をもたらす。カトリアナとの思いがけない甘い関係とその結末。

 次第しだいにこれらみっつの物語(必ずしも同時代ではない)が接点を見せ始め、複雑に重なりあってひとつにつながっていく。

 が、ことはそう簡単ではなく、最後の最後でとんでもないしかけが待っている。まさにエッシャーのだまし絵を見ているかのような世界。では、いったいあれはあれだったのか。これとそれはなんであったのか。老人は、フェランは、ミナールは、ペトリ博士は、いったいなんであったのか。ロジエとは誰であったのか。おそらく最後の最後まで頭のなかはぐるぐるとまわりつづけて不思議な混乱のなか読み終えるはず。

 ちょっとエロティックで不思議な世界。エッシャー的な円環をなすクルミーによってしかけられた巧みな罠。類をみない文学体験が待っているはず。

#amazon も本が好き!のデータも著者が訳者になってしまっているなあ。


#旧本が好き!サイトのドメイン処理の不備により、意図しないリンク先となってしまうということで旧アドレスへのリンクを消去しています。(2012/02/12)

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