ぼくが世の中に学んだこと
ぼくが世の中に学んだこと (岩波現代文庫 社会 166) 鎌田 慧 岩波書店 2008-05-16 by G-Tools |
今年になってなにやら爆発的な売り上げをみせているという「蟹工船」。誰が仕掛けたのかは知る由もないけれど、時代をうまくとらえた戦略とでもいうのか。
もっとももう少し現代的な視点で考えようと思えば、たとえばこの本などは特に若い世代に考えるきっかけを与えてくれる一冊だと思う。
「自動車絶望工場」であるとか「ドキュメント失業」であるとか、さまざまな社会問題を扱ったドキュメントは発表当時はとても話題になったし、今となっては様子が多少変わったであろうけれど、別の問題が介在しているということを思えば、いろいろ考えさせられるところは多いはず。
それらのドキュメントにくらべてやや軽い感じで書かれているのは、やはり基本的に子供や若い世代を意識して書かれたものだからだろうか。印刷工場で働く中で労働問題などにふれ、後々の著作へとつながる布石になったであろう若い頃の体験を読みやすい筆致で書いている。ことによると「蟹工船」よりも読みやすくてよいかもしれないぞ、と思ったりもするが、それはまあそれぞれなので。
かつてはちくま文庫に収められていたのだが、今年になって岩波から出ているようで、値段は高くなったなあ。中高生の夏休みの一冊にお薦めしてもよいかな。
#近年の鎌田慧さんは、すっかり目が優しくなられて、歳をとられたのだなあと実感せざるを得ない。あの頃の目は厳しかったなあ。
自動車絶望工場―ある季節工の手記 (講談社文庫) 鎌田 慧 講談社 1983-09 by G-Tools |
ちくまから出ていたものはどうも皆絶版らしい。残念。
ドキュメント失業 (ちくま文庫) 鎌田 慧 筑摩書房 1985-12 by G-Tools |
見かけるのは新潮文庫ばかりなので岩波を貼ってみよう。
蟹工船 一九二八・三・一五 (岩波文庫) 小林 多喜二 岩波書店 2003-06-14 by G-Tools |
週刊金曜日でもだしているのね。
小林多喜二蟹工船 小林 多喜二 金曜日 2008-07 by G-Tools |
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