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蒲公英草紙(文庫版)


4087462943蒲公英草紙―常野物語 (集英社文庫 お 48-5)
恩田 陸
集英社 2008-05-20

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 久しぶりにこれほどまでに優しく美しい日本語に出会ったという印象が残る。優しい語り口でありながらじわじわと押し寄せてくるなにかを感じずにはいられない、そんな物語をひととき体験した。近年にない体験。結末は決して明るいばかりではないもののひとすじの明かりというか埋み火のほのかな温かみのようなものを感じさせる。

 さすがに現代においては、こうした言葉遣いそのものが失われ、もはやなじまないのだろうとは思うが、せめてこうした作品の中に残っていくことはありがたいことなのかもしれない。

 そうしたこだわりの一遍が当時ではまだ目新しかったであろう外来語については、すべてひらがなで書かれたうえで傍点が添えられているところ。いかにも時代を思わせるような気遣いでうまいなあと思った。もっともそれゆえに「ハッとする」とかいった擬音などについてだけはカタカナが使われているのが、気になったりもする。統一されているのでそれはそれとしてよいのだろうとも思うのだけれど、あるいはそこもひらがなで統一すべきだったのだろうか、どうだろうかとしばし考えてしまった。

 昔むかしの古きよき日本の風景と思わせる中に、現代への痛烈な批判も隠れているようで、なんとも心痛いものも残るのだった。

 常野物語のシリーズはまだまだ書き続けて欲しいな。

#ちなみに、解説は新井素子。


4087472426光の帝国―常野物語 (集英社文庫)
恩田 陸
集英社 2000-09

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4087747913エンド・ゲーム―常野物語 (常野物語)
恩田 陸
集英社 2005-12

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