明日に架ける
そうはいっても NHK スペシャルとか期待している番組とかもあって、昨夜の「橋は大丈夫か」なども改めて身の回りに潜む危険を感じずにいられなかったりする(もちろん、なかには哀しいかな不当な番組つくりによる誤謬や誘導がある可能性をまったく否定はできなくなっている現実もあるにはあるけれど)。
橋の建設そのものに手抜きがあったり(それは構造的なものだったり、予算を抑えるための弊害であったり)、そもそもの耐用年数・耐用加重限度を越えてしまっているであったり、さまざまではあるものの、そうした相当数の橋梁の維持・管理にあてるための予算がほとんどといっていいほど当てられていない現実。
新規に道路などを作ることには補助金がたっぷりと出るために、そちらを選択するほうが得策であると考える自治体。
山形県の例をしめしていたのだけれど、維持管理を担当する主査の言葉が印象的だった。「新しいものをつくるほうが華やかでいいでしょうが、それはつまり維持管理しなくてはならないものを増やしているのだということを、ぜひ理解してほしい」といったことを言われた。それまで、維持管理費はこれまで通りの予算でいいじゃないですかという方向だった会議の議論がそこからおおきく揺り戻されて、増やす方向にしなくてはいけないという結論を得るにいたっていた。
結局、国も自治体も「いいじゃないの。傷んできたといってもすぐに壊れるというものじゃないでしょう? 新しい道路はみなが望んでいるんだから、そちらを優先すべきなんです」といった空気がひしひしと感じられる。
被害が起きてからでなければ、実感しないということなのだろうなあ。
もちろん、補修ではなくて、速やかに架け替えるという新規工事を行うというのであればよいが、新しく作られるのはまっさらのものばかりというのでは、まさに補修の必要になるものを次々と増産し続けるだけのこと。先の見通しなどない行政に未来は、いや市民の安全という視点はあるのか? と疑いたくもなるというもの。
どの自治体においても財政が厳しいのは間違いのないところで、それでもどこに使うのかといったら、まずは安全・安心に暮らせるために使われるべきものなのではないかなあとも。
しばらくは橋を渡ることを躊躇してしまいそう。
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