すげー笠職人
やはり大阪製作の朝ドラは出来が違うなあ。この秋のどのドラマよりも脚本がしっかりできているので、笑いも涙もうまくおりまぜている。台詞回しのひとつひとつが実にしっくりくるのでちゃんとドラマに没入できる。
今回のちりとてちんではなんといっても主人公の母親、糸子さんが光っている。ちょっととぼけているようでいて、意外としっかりしているところもある、笑いどころ満載の、それでいて頼もしくも愛らしいおかあさんだ。それゆえにファンも多いようで、それがさらに番組の人気をもりあげている。
そんな母親役を演じている和久井映見にとっても、大きな転機となる役どころなのではないかと思える。これまでの作品ではまず見られなかった役どころなのだが、むしろそれは古い固定観念にとらわれていた製作サイドの失態だったのではないか、と思うくらいに見事な演技。実年齢よりもずっと年配を演じているのに、違和感を感じさせないのは、老けているというのではなく、若々しいなかにも役にしっくりとなじんでいるということなのかもしれない。このドラマでおお化けするのは間違いないのでは。
まだまだ始まってようやく半分にたどりつこうかというところではあるけれども、脚本のすばらしさを思えば、どこぞのドラマのようなお粗末な感じになどなるべくもない。
もちろん、主人公を演じる貫地谷しほりも製作発表時の印象とは違って、いい味をだしているし。その他の役者もひけをとらない。ドラマとはかくあるべしという見本のような仕上がりではないのかと、満足できる。
昨今のとかく漫画原作に頼ったり、ちんぷな脚本のままとりあえず放送しているようなドラマには、ひとつ見習って欲しいとさえ思うくらい。
この先も精一杯、楽しませてもらうとしようか。
#番組の最後に「ただいま修行中」としていろいろの職業などの修行をしている人々の写真を出すのだが、そのなかに「すげ笠職人」というのがあったのだが、なんだか「すげー笠職人」に見えたのが笑えたという。
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