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もったいない失敗

 期待をもって見始めて、一応最後までお付き合いした NHK アニメ「電脳コイル」。全 26 話の放送が終了。結論をいうともったいない失敗だった。

 アイデアとか、仕掛けとかにはなかなか面白いものをもっていたにも関わらず、それらを十分に生かすことのないまま時間が足りなくなり、最後はひたすら説明に終始してなんとか力技で終らせてしまった。もったいない。

 あくまでも想像ということにとどめておくわけだけれども、その原因は当初のところでの子供達の反応にあったのだろうなと。ビタミン E TV などでは「面白い」とか「かっこいい」といった肯定的な意見しか流されなかったが、それらを上回る量の「難しくてよくわからない」という意見があったであろうことは間違いないのでは。

 それがゆえに、途中なかだるみとも思えるようなサイドストーリーばかりが放映されることが多くなり、単純に面白く感じられるエピソードを多数挿入した。さらには、夏休みには「自由研究」と題してこれまでの解説のための番組まで流した。それでも時間が足りなくなり、さらには最後の4回を前にして怒涛の説明に終始することになるのを受けて「総復習」などという回を設けたり。

 結局、物語の主軸が途中でずれてしまったがために、最後の説明がひたすら説明に終ってしまって、十分に(視聴者が)租借してなるほどと納得できる面白さを失ってしまうつくりになってしまったといえるのでは。

 中心となる視聴者である子供の層の反応を読みきれなかったのか、はたまたそもそものシリーズ全体の構成の詰めの甘さだったのか。後半における展開では、あるいはこのアニメのテーマは現代社会の子供とインターネットやパソコン・携帯などの電子機器をとりまく諸問題を取り扱って、その危険性にあらたな警鐘を鳴らすという目的なのか、とも思ったくらいだったが、それすらも結局中途半端に終ってしまった。もっとも、それはそういう意図を本来含んでいなかったかもしれないので、なんともいえない。

 とはいえ、せっかく怒涛の最後への展開を思えば、あまりにも途中の無駄の多さはもったいない。時間をかけて計画・企画してきたらしいアニメだけに、いったい何をそこでやっていたのかと残念に思うくらい。

 いまさらリメークともいかないが、せめて回数を延長するくらいの気持ちで締まりのある終わり方を目指して丁寧に仕上げて欲しかったという印象だけが残ってしまった。それだけに惜しい。

 そんな意味では、アニメとは別物になるというジュブナイルに期待するしかないのかもしれない。


4198507430電脳コイル 1 (1) (TOKUMA NOVELS Edge)
宮村 優子 磯 光雄
徳間書店 2007-04

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電脳コイル 2 (2) (TOKUMA NOVELS Edge) (TOKUMA NOVELS Edge)
宮村 優子; 磯 光雄
419850752X

電脳コイル 3 (3) (TOKUMA NOVELS Edge)
宮村 優子 磯 光雄
4198507600


追記:
 ちなみに、最終回にはいつものオープニングもエンディングもない。これも時間の足りなさと演出の両面なのだろうが、分からないのは「ヤサコとイサコ」のタイトルが結局出ないままであったこと。タイミングは十分にあったので忘れたというのが実際のところなのだろうか。それもまた謎として終った。(再放送では挿入されたりして)

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コメント

うわー電脳コイルこんな残念なことになってたんですか。一回だけたまたまチャンネルが合ったとき、目が離せなかったですよ。こりゃ凄いアニメ、やるじゃんNHK!ってな感じで。本当に残念だなあ。

投稿: roe | 2007.12.04 01:12

いえ、まあ一応解決もされて終ったには終ったのです。終わり方そのものは悪くなかったです。
SF やアニメ好きの大人にとっては期待が大きすぎたためにということなのかもしれず、ですから是非、再放送を見てやってくださいませ(笑)。

#わたしは DVD で通して見ようと思ってます。

投稿: ムムリク | 2007.12.04 10:12

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