災いの古書
災いの古書 (ハヤカワ・ミステリ文庫 タ 2-9) ジョン・ダニング 横山 啓明 早川書房 2007-07 by G-Tools |
前作ではちょっと毛色が変わったのもあって、そろそろこのシリーズもいいかなと思っていたのだけれど、このところあまり新しいものを探索するということがなくなってしまったので、どうしても知っているものに手をだしてしまう。素直に言えば、今回はシリーズ1作目と似たような雰囲気ということでそこそこ楽しめたといえるか。
といって、今回はさほど古書に関する薀蓄のあれこれが出てくるというほどではない。ごく一般的なところにとどまっている、というかカギのひとつではあるが、とりたててということではない。
物語の展開そのものは楽しめたのだけれど、どうにも冗長すぎるきらいが強くなった。弁護を依頼された女性との面会についても、意図したものではあるのだろうけれど、あまりに煮え切らない繰り返しばかりなので読んでいて嫌になることがあるくらい。全般にそのもっさりした感じが続くのでもっと短くてもよかったのではないかと思ってしまうのが難点のひとつ。
さらには、事件の真相が途中でほぼ見えてしまうので結末のあたりが妙にうそっぽく見えてしまうのが残念。結末の部分の描写などはどう考えても無理があって(対決する部分)いったいどうしてしまったのだ、と思わんばかり。古書にまつわる面白い話が挿入されていれば、まだそれでゆるせる気にもなるだけに残念さがよけい強くなってしまうか。
続編はあるようだし、ダニング氏は体調がすぐれないという情報もあとがきにはあるが、さて今後を期待していいものかどうかやはり微妙な気持ちになってしまったり。
やはりお薦めは、「死の蔵書」と「幻の特装本」といったところかな。
#校正もれが多数あったのも、気をそがれたところではある。
P.198 本のことは待ち出さないようにした。
P.199 「このまま進んだほうがいのか、戻るべきなのか、思案のしどころだな」
P.290 事態は事態は紛糾する一方だ。
P.478 現場を台無したあとに張り巡らせたテープではなく」
カバー登場人物名 ジェリーがジェニーになっている
死の蔵書 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
ジョン ダニング John Danning 宮脇 孝雄
幻の特装本 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
ジョン ダニング John Dunning 宮脇 孝雄
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