ヴァリス
![]() | ヴァリス 大滝 啓裕 Philip K Dick フィリップ・K・ディック 東京創元社 1990-06 by G-Tools |
「しゃべれどもしゃべれども」をダンボール箱から掘り出しているときに見つかった。まだ読んでいなかった。いや、一・二度挑戦したが冒頭のあたりでなんだか波に乗れずに止めてしまった記憶がある。ディックを代表する一冊であろうにもかかわらず。
もっとも、どんなにすばらしいと世評されようと好みの問題はどうしようもない。ということで、まあしばらく時間も空いたし他にとりあえずは読むものがないのでという気楽な気持ちで読み始めたら、一応読み終えた。感想としては「それで?」というところだろうか。
ディックにありがちな、なんだかよくわからない展開は割と少ないような気がする。映画「ヴァリス」がからむあたりからは怪しい感じでもあるけれど、さほど分からないわけでもない。ゆえに話としては大体ふむふむと読みすすんで終わる。で、異様に分量の多い「解説」となるテキストが続くことになり、ここにいたって「そんなに深い意味がこめられていたのか?」「そこまで深読みしなくてはいけないのか?」といった印象が強くなってしまった。
おのれの浅はかさで読み取れないのだという考えは十分にあるけれど、それほど思想的な深い意味がこめられていたと読まなくてはならないのだろうか、などと思ったらちょっと冷めてしまった。
これまで読んだことのあるディック作品よりも、ディックらしさ(のようなもの)がやや薄いようにも思ったのだが、それをしてより深いものを感じ取るべきなのか。あるいは「聖なる侵入」を読んだらもう少し理解は深まるだろうか。
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