よみがえる絵巻
この正月だったか、すでに昨年のうちであったか NHK で源氏物語絵巻の復元を追った番組を見た。ようやく全てが完了したというものだったのだけれど、以前にも放送されたそれまでの随時完了した分の放送もおそらくすべて見ていたかと思う。
源氏物語そのものにそれほどの関心があるわけでもないし、絵画や美術にことさらに関心が高いわけでもないが、この復元の過程はさながら良質のミステリーでも読むようなわくわくする楽しさや、その技巧のすばらしさに思わずうなってしまうようなものがあった。
科学技術が進んだことによって、これまで分からなかったところまで確認することができるようになったとはいえ、当時の技法を再現して復元することのできる日本画家や、それを支える多くの人たちの存在こそが、この見事な復元をもたらしたのだなと思わざるを得ない。仮にさらに数十年の時を経たときに、同じような復元ができるのだろうかというのは、文化的な不安として必ずしも間違ってはいないのかもしれない。(もっともそうしたらデジタルでという世界になるのかもしれないけれど)
それら復元と原画、昭和の復元とを同時に展示した特別企画展がサンリツ服部美術館で開催されている。テレビでは見たけれど、確かに現物を目の当たりにしてみたい気持ちはあるなあ。
| 固定リンク
コメント