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よく死ぬことは、よく生きることだ


4167461048よく死ぬことは、よく生きることだ
千葉 敦子
文藝春秋 1990-02

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 本書では三度目の再発が確認される前後のことを中心として書かれているのだが、これまでのものとは少し違って、いくつかの文章をまとめたものという体裁になっている。

 はじめに 1986 年 10 月に上智大学で行われた講義録が収められており、続く二章ではアメリカのキャルバリー病院を訪ねた時の記録として当時のアメリカでのガン医療の現状を紹介しながら日本の医療への不満も訴えている。三章では三度目の再発が確認されるまでの間の治療のこと、がんと共に生きていくことについて、などの小文が収められ、最後の四章で三度目の再発について触れている。

 あらためて見ると今日にいたるまで日本のがん医療というのは、医薬品などの進歩は別として治療の方針であるとか、医師と患者の立場であるといったことはさほど変わっていなかったのではないかとも感じられる。

 ようやくここへきて各都道府県にがん拠点病院を設置するとか、ホスピスのありかたに関する考え方に変化が出てきたようだが、それでもまだ本書で語られた当時のアメリカの状況には及ばないのではないかとすら思える。(実際がどうであるかはわからないけれど)

 ちょうど昨年あたりから今年にかけて何度か放送された NHK の特集番組による功績もあったのだろうが、そこへいたるにはその番組にも登場した「がん医療を改善したい」と活動した患者や、志をもって変革にあたった医師や病院の努力があったのだろう。

 昨今、あまりに利己的と思えるような医療過誤・事件が多い中、医師も患者も第三者も考えるべき多くの言葉に満ちている一冊ではないかと。

どの時代に生きても、完全な人生というものはないし、また同時に完全な死というものもなくて、平凡な表現ですが、与えられた環境でベストを尽くすしかないのだということです。
死はだれにでもいずれは訪れるものなのに、それに目をつむり逃避しようという態度を続ける限り、充実した最後の日々はあり得ない。
アメリカ病院協会は、患者との協力的な看護を進めるため、72 年に「患者の権利宣言」を定めた。アメリカの病院に入院すると、入院案内に必ずこの権利宣言が書いてある。
患者はひとりきりでほうり出されるのではなく、看護側は最後まで患者を見放さないという約束を患者が信じられるかどうかが、末期患者の精神状態を握る鍵であるように思われる。

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