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百万の手


4488462014百万の手
畠中 恵
東京創元社 2006-06-10

by G-Tools

 「しゃばけ」「ぬしさまへ」と文庫になってから読むようになり、すっかり若旦那のシリーズがお気に入りになったのだが、そうそう文庫になってくれるわけでもない。先日刊行された「うそうそ」は単行本であるし。

 そんななか現代物ということで文庫がでたので、畠中恵であればはずれはないであろうということで読む。

 うーん、やっぱりうまい。内容については解説でも触れられているけれど、いくつかのテーマを盛り込んでいてもったいないくらいにも思える。無論それらがあるから物語の展開に幅ができて、面白みが増すというものではあるのだが。

 それらの今風のテーマを扱いつつもその文章のうまさが何よりも特徴なのではないかなと。難解な文章ではもちろんないし、かといって稚拙な文章でもない。けれども読み手のリズムを崩さずに知らずしらずにページをどんどんと読み進めているという、そんな文章。

 それもこれも都築道夫の門下生とあれば、なるほどとうなずけるところ。

 おかげで久しぶりに短期間に読んでしまった。

 解説では、ぜひとも続編が読みたいと書いてあるが、続編といわず、しゃばけのシリーズにとらわれない作品も今後たくさん出して欲しいなと。

#ひとつだけ気になるとしたら、データ流出を防ぐためにパソコンを破壊する場面。ケースを開けて心臓部に千枚通しを打ち付けて壊す、という場面がでてくるのだが、心臓部というと CPU というイメージかと思うがどうだろう。恐らくはハードディスクを壊すというイメージで書いているのではなかろうかなと思うのだが。ただ、ハードディスクを心臓部というにはちょっと語弊がありそうではあるけれど。
#割とあれこれ詳しく調べて書かれているので、そのあたりがちょっとあいまいで気になってしまった。ま、ささいなことだけれど。

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