恋するA・I探偵
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400ページあまりという長さにもかかわらずとにかく読みやすく感じたのは久しぶり。いや、このごろは読書が滞りがちということもあって余計にその読みやすさが際立って感じられたのかもしれない。
A・Iプログラムがいつしか感情を持つようになり、次第に人間的なものに変貌していくというのはSFの世界であればごく当たり前のように使われる手法だけれど、それをミステリに応用したというのは確かに新鮮で画期的だったかもしれない。
そのA・Iであるチューリングが自分自身の作者であるザックがさっぱりログインせず、会社にも姿をあらわしていないことに不安や疑問をもち、彼の探索をしていくうちにその影にひそむ陰謀を知ってしまう。その顛末が描かれるのが本書。
正直なところ難しい謎解きがあるというわけではないし、激しいアクションというほどのものもなく事件は終わる。ミステリ好きとか謎解きを期待して読めば、期待はずれということになってしまうだろう。
いってみれば新しいエンターテイメント。さくさく読めて「あー、面白かった」といえる小説。だからあまり細かいことにはこだわらないのがよいのだと思う。
たとえていえば、「ライトノベル」ではないかと。
新しく画期的なメモリ管理方法をあっさり開発し、より効率的なOSまでも即座に作ってしまうなんてくだりは、ちょっと行き過ぎかなあと思わないでもないが。(設定はあくまでも現代である)
軽く読めて楽しい、そして新しい空気を感じたい人にはまずまずお薦め。まあ、読書の楽しみなんて元来そういうもんですけれどね(^^;
ちなみに本書にはいっさい章立てがない。これもまた昨今では珍しいかも。それともそれもまた「狙い」なのだろうか?
#ひょっとすると翻訳にあたっての勘違いとか不適切かな?と思う部分もあったので原書にあたってみようかと思ってはいるけれど、当分先のことかと思われ・・・(^^;;
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