「死への準備」日記
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文春文庫
税込み420円
1991年5月発行 @niftyBOOKSで
画像は1989年発行の朝日文庫版のもの。現在は1991年5月発行の文春文庫版になるようです。
千葉敦子、1987年7月9日死去
がんの再発から声を失い、体調を崩しては入退院を繰り返しながらも、ジャーナリストとして積極的に仕事を続けていた千葉さんの最後の記録。
たとえどんなに体調がすぐれないときであっても、それが過ぎたらさっと気分を替えて、ふたたび仕事に戻ったり、街に出かけたりという、その原動力はどこにあるのかと不思議なほど。猛烈な吐き気に襲われ、ひとしきり吐いてきたあとで、これで気分が少しよくなったから続けましょう、などという言葉がどうして出てくるものだろうか。
単にジャーナリストとしての意識にとどまらず、誰のものでもない自分の人生をいかに充実したものにするか、ということを常に実践しようとしていた、ということかもしれない。常に新しいものに関心を持ち、学習していこうという意欲も。
見出しのいくつかを揚げてみる。
- 声の喪に服する
- 人生に求めたものはすべて得た
- 映画を見に行く
- おせちパーティーは楽しかった
- 日本のエイズ騒動はお笑いだ
- 超伝導体とは?
- 引越し先を決めた
- ともかく、六ヶ月生きた
自分の持っていたものを失って初めて、その価値が分かるのだ。人間とは、なんと愚かな存在なのだろう。
あと何度食事をとれるか分からないという状況にあるからこそ、一食一食が祝いごとのように感じられる。
精神生活のない、ただ動物として生きている苦しさは耐え難いものです。
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