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わたしの乳房再建


4-16-746102-1わたしの乳房再建
千葉 敦子
文芸春秋 1988-01

by G-Tools

 文春文庫 本体340円 絶版
#例によって画像は自前のもの

 1981年当時といわず、あるいは今でも再建手術をのぞむ人はそれほど多くないのかもしれない。数字とかを調べたわけではないのだけれど、日本人という性質からいってもそれほど間違っていないのではないかと思う。ガンの治療として乳房の切除が成功し、予後も良いとなれば、確かにアンバランスであったり、喪失感にとらわれることはあるだろうけれど、なくても生きていけないわけではないとか、高齢であれば「いまさら」といったことで再建などということは考えない人も多いのかもしれない。少なくとも本書の書かれた当時はそうであったようだ。何よりもきちんとした情報が少ないからではないか、と本書でも書かれている。

 本書ではまず再建について書かれている。手術を出来るだけ自分で見たいと医師に申し出ていただけに、その描写はかなり詳しい。もちろん、現在のそれとは様子が違うかもしれないが、再建手術というものを知るひとつの有用な情報であるのは確か。また、ガン闘病をめぐって、患者はどうあるべきかとか、周囲がどう接するべきかなどといった様々な生活をとりまく事柄を体験を通して語っている。

 最近でこそ、処方される薬がどのような目的のもので、起こりうる副作用としてはどのようなものがある、といったことが必ず添えられるようになっているけれど、医師にとっても患者にとっても、よりよい医療のためにどうするのがよいのかといった示唆が多く語られている。同時に生き方への示唆にも富んでいる。

人生そのものがだれにとっても「未完成の作品」なのである。完成するかどうかを心配するより、まずとりかかることだ、と考えた。
分からない、という状態が精神衛生上いちばんよろしくないように思う。
米国では、患者は質問をしなさいと励まされる。「質問をしなさい。はずかしがっている場合ではありません。一つや二つ愚かな質問をするかも知れませんね。それでも心配したり迷ったりするよりましです」という具合に。
 だれもが彼女のように行動できるわけではないし、何もそこまでということも人によって考えかたによって、もちろんある。最終的な決定をするのは自分でしかない。勇気ある言葉を知っておくことは決して無駄にはならない。

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コメント

はじめまして。
千葉さんの著作を読み、千葉さんの考え方、物の見方に影響を受けた一人です。(著作はほとんど読みました)
何故かV8ジュースは飲めませんが、、、(笑)

投稿: キク | 2005.06.24 16:32

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