千葉敦子のななめ読み日記
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- 365日の読書ノート -
三笠書房 知的生きかた文庫
1987年9月発行 絶版
本体420円 @niftyBOOKS
どちらにも画像がないため自前の画像。
千葉敦子が亡くなってから18年が経とうとしている。今では名前も知らないという人も若い人のなかには多いかもしれない。もちろん、縁の無かった人にはいくつであろうとも知りえないというのは確かなこと。けれども、千葉敦子はその生きかたといい働きぶりといい、よきにつけ悪しきにつけいろいろのことを考えさせてくれる。
残念ながら絶版が多いけれど、これから少しづつ紹介を。
文字通り一年間にわたって千葉敦子が買った本、読んだ本の記録。「はじめに」のなかでこう書いている。
『よい書物ほど人生を豊かにしてくれるものは滅多にないと思うが、一方、下らぬ書物ほど貴重な時間を浪費するものもない。しかしその区別を見きわめていくのは、個々の読書人の仕事だ。各人はそれぞれのライフスタイルに合わせた読書の方法を身につけていくしかないのだろう。』歯に衣着せぬ感想は時に畏怖すら覚えそうだが、けれども非常に素直な意見を踏まえた上で自分も読んでみようかと思わせるなにかがそこにある。自分ではとうてい出会うことのなかったであろう本と出会えるきっかけとしても興味深いだけに絶版は惜しいです。
「夜と霧」も「生体解剖」もこの本がなければ読んでなかったかもしれません。
余談ではあるけれど、時折思い出すのは、"The Official Rules" の中で傑作だったと紹介していた「新しい勤務規定」だ。一部だけ引用します。
<病気>どのような口実も受けつけない。病院に行かれるくらいなら出勤できるはずだから、医師の病気証明は受けつけないことにする。これって翻訳がでているんだろうか。読んでみたい本です。
<(本人の)死亡>これは口実として受けつける。しかし代わりの人に仕事を教える義務があるので、二週間以上前の事前通知が必要。
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コメント
千葉敦子さんはもっときちんと評価されてしかるべき人だと思います。
かの日垣隆さんだって、ジャーナリストになるに当たっては彼女の影響が大きかったんだから。
というわけで、ムムリクさんよろしくお願いしますね。
投稿: randa-tei | 2005.05.11 21:52
亡くなる少し前にようやく著作を読み始めたのですが、少しでも時代を共有できたというのは有益でしたね。
日垣さんにお会いしたのもその頃だったかなあ・・・
たぶんひととおりあると思いますので命日に向けてそろりそろりと紹介したいと思います。(もっともたいした紹介はできませんが(^^;)
投稿: ムムリク | 2005.05.12 11:36
千葉敦子さん…勇気ある聡明な方。若き日に影響を受けた方です。家のどこかにまだ本があるはずと思い出しました。ありがとうございました。
投稿: fifi | 2006.02.16 16:49
fifi さん、こんにちは。
全力疾走で生きたという印象の人でしたね。このところ紹介をさぼっていますので、反省を込めて。
こちらこそ、ありがとうございました。
投稿: ムムリク | 2006.02.16 16:57
10年くらい前に千葉敦子さんの本をまとめて4~5冊読んだ事があり、全て一刀両断でとても面白かったのですが、何かおかしいとも感じました。今回前川健一さんの以下の文章を発見して記憶が蘇ってきました。
根拠の無い、あるいは、事実と違う前提条件の上で主張を展開しているので主観的・恣意的な傾向があります。多分何か個人的な苦い経験から日本を嫌悪する気持ちが、ジャーナリストとして大切なバランス感覚を失わせてしまったのではないでしょうか。
アジア雑語林21-30「(21)ものすごくおかしいぞ、千葉敦子」
http://www.asiabunko.com/zatugorin21_30.htm
#前川健一さんのウェブに上がった記事の全文引用であったため URL に替えさせていただきました。
投稿: TeoinJesus | 2007.03.20 22:33
TeoinJesus さん、コメントありがとうございます。
わたしも千葉敦子がすべての面においてすばらしいと思っているわけではありません。同意できない部分もあります。もちろんそれはあらゆるジャーナリスト、いえ人に関してあることではありましょう。ただ、この時代にここまで発言したということにおいては意味のある行動だったのではないかと思っています。
どのようなものであれ、それを取捨選択するのはわたしたちですから。批判がでるのはむしろ正しいことで、逆にその批判をどう受け止めるかも人それぞれというところではあるでしょう。そうした多用なものに触れて考えることからはぐくまれるものがあると思います。
その意味でも貴重な情報をいただきました。ありがとうございます。
なお、引用いただいた文章は全文引用であり、著作権にふれることであります。出典のサイトがわかりましたのでそのアドレスを紹介することで替えさせていただきます。悪しからずご了承ください。
投稿: ムムリク | 2007.03.21 11:19
千葉敦子さんの本はほとんど読みました。一言で言えば「辟易」……というのは言い過ぎでしょうか。私自身のこの感覚を裏づけてくれているのが、あとがきを書いている方々のコメントです。大熊由紀子、桐島洋子、ジョン・ランゴーネ。千葉敦子の論理はすべてにおいて「強者の論理」。世の中には色々な人がいるのだということ、弱い人間もいるのだということを一切認めていないように思えます。人間として生まれた以上すべからく強く生きるべし!というのが信念だった人です。だから「辟易」。普通の人間にはつらいです。敬愛する柳澤桂子(親交はあったみたいだが)さんとは対極の人だと思います。
投稿: くみこ | 2009.09.15 17:06
くみこさん、コメントありがとうございます。
確かに自分に非常に厳しい生き方をされた人でしたし、他人に対してもなぜそうできないのかといった表現もあったのは事実ですね。
といって、そうした弱い立場の人を叩きのめすようなことはしなかったのもまた事実ではあろうと思います。
すべてについて完璧で誰からの賛同もえられる人というのはそういないでしょうし、わたしたち自身もまた同様と思えば、よいと思う部分を吸収していくということなのでしょう。
とにもかくにも、きちんと読まれた上で判断されたということが意味を持つのだと思います。
投稿: ムムリク | 2009.09.16 10:33
全くピント外れかもしれませんが、千葉敦子さんのお墓がどこにあるか、ご存知の方はいらっしゃいますか?ぜひ教えていただきたいと思います。
投稿: | 2010.09.30 11:16
残念ですが、存じません。
投稿: ムムリク | 2010.09.30 15:25
東京都台東区の寛永寺では?
投稿: ゆっぴい | 2011.01.27 19:15
お墓は寛永寺と聞いていますがどこにあるかわかりません
投稿: 千葉読者 | 2011.07.09 10:59