虹の解体
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リチャード・ドーキンス
福岡 伸一:訳
早川書房
2001年3月発行
本体2200円 @niftyBOOKS
虹の七色の原理を、プリズムによる日光の分光で解明してしまったときに、せっかくの虹の神秘的な側面をだいなしにしてしまったといった声があったとか。さまざまな事柄をドーキンスが解体しているのが本書。それは遺伝子であったり、天文学であったり、音であったり、はたまた占星術だったり、法律や裁判であったり。読み方としては邪道なのかもしれないけれど、物事の裏側の真実を見極めるというのはどういうことなのか、またそれはどのようにして行われるべきかといった示唆を得たという意味で意義深いものだった。
たとえば占星術。「木星が○○座に入りました」とか云っているその意味を考えると、確かに笑うしかない。地球から見えている星座はみかけのものでしかない。絶対的にまったく無関係な距離や位置(空間座標)にある星々がたまたまある地点からみたときに特定の配置に平面状見えているだけであるのに、その配置に意味があるとするのは科学的にはまったくナンセンス。遠く離れた天体から見たらまったく異なった配置になってしまうのだから。
大切なのは科学的な判断と、その他のものとを切り分けて考え、きちんとした判断をくだすのは科学的な目で、そうではなく楽しみとかの部分はそれとして楽しむ、ということでは。星占いが悪いとまではいわないが、生活のすべてをそれに左右されるのは無意味だということは理解し認識する必要があると。その上でお遊びとして楽しむのはそれはまた別の話であろうと。
わたしたちがさまざまなまがいものに騙されてしまう背景のひとつには、基礎的な科学知識の不足があるのでは、という声を聞きますが、それはあながち間違いではないのではないかと、本書を読んで強く感じます。理科や算数なんて大人になれば必要無い、と思われがちですが、簡単に騙されない人になるための大切な学習であるというものかもしれません。
#それにしても発行直後に購入したというのに、読んだのはようやくの今(^^;
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