夜のフロスト
警察小説、ジャック・フロストのシリーズ3作目。その風貌はテレビ「刑事コロンボ」を思わせるようだが、そこまで繊細な推理をみせるというわけでもなく、会話もお世辞にも上品とはいえない。けれどもなぜか憎めない。ほとんど不眠不休で捜査を続けるさまは同情したくなるほどだ。そんなフロストの魅力にひかれながらついつい 700 ページあまりの文庫を離せなくなる。実に不思議なキャラクターなのだ。
とはいえ、巻を重ねるごとにそのボリュームは増えており、同時にいくつもの事件が発生し(もちろん現実とすればそれが当然のことではあるのだが)しだいに誰がどの事件の関係者であったのか忘れてしまうくらいなのには、ちょっと困ってしまう。いや、それは自分の記憶力が落ちてきたから、という問題も否定はできないが(^^;
それでもなのだ。イギリスという土地柄ではあるのかもしれないが、常に冬の頃で冷たい雨の中の捜査という印象が強いのは、ただの印象だけではないだろう。しょうじきワンパターンに感じられなくもない。今回の「夜のフロスト」にかんして言えば、ただただ長すぎたのではないかなという印象を禁じえない。
もちろん、フロストのキャラクターとしての面白さがあるから最後まで読ませてはくれるのだ。それは間違いないのだが、もしもこの先もこの調子でいくとなるとやや興ざめかもしれない。次作の翻訳はまだでていないので、なんともいえないが期待と不安と半々といったところ。
題名:夜のフロスト Night Frost
著者:R・D・ウィングフィールド
訳者:芹澤 恵
発行:創元推理文庫 @niftyBOOKSで詳しく見る
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