2010.02.10

祖国なき男


448823903X祖国なき男 (創元推理文庫)
村上 博基
東京創元社 2009-11-20

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 本が好き!経由で献本していただきました。ありがとうございます。

 前作でヒトラー暗殺に失敗して祖国イギリスにからくも戻ってきた主人公が、単身ふたたびドイツに潜入し、軍とは関係なく暗殺をもくろむという話。前作は読んでいないけれど、冒頭に簡単に説明があるのでそのあたりの違和感は少なく読めるはず。

 ただ、どうにも読みにくい感じがして難儀した。文章が難しいとか文体が古式ばっていてというわけでもない。あえて言えば文章に説明が足りないというところか。解説によれば、前作もそういう嫌いはあるようで、ただそれは主人公による手記という手法で書かれているためで、そこがいい味になっているといった感じの内容であったのだけれど、果たしてそれだけなのか? という感じも。

 前半でドイツ将校の振りをして列車に乗り込む件がある。四人のポーランド人をアウシュビッツに連行するということで乗せている列車。主人公にしてもドイツ軍に追われている状況なので、できるだけ早く逃げる算段をしたいと思っている。そこで捕虜を見方につけて逃げようと考える。

 走行中の列車から捕虜を突き落とすといって警護の兵ふたりに扉をあけさせ、ひとりを突き落とし、もうひとりをというところで捕虜が警護兵の口を両手で抑えて声を出せないようにする。四人も捕虜がいてなんの拘束もされていないというのもちょっと謎だ。警護兵を突き落とし、自分はドイツ人ではなくイギリス人だというとあっさり信じてくれるポーランド人捕虜。抱擁して涙まで流す。

 逃走について相談するうちに、やはり一緒にというのは難しいということでひとりで行動することにする主人公。アウシュビッツ駅について捕虜四人は降ろされて連行用のトラックに乗せられる。突き落とした警護兵が見つかると足がつくと不安に思い、突き落とされた兵がいると連絡があったと兵に伝え、捜索に行くように命じる主人公。一緒に行けと命じたのは連行用トラックの運転手らしい。しかも運転手以外には誰もいないらしい。

 時間について触れられる部分がほとんど出てこないのだが、途中いきなりアウシュビッツ到着は夜なので、といった描写がでてきたりする。乗ったのがいつだったのかもわからないし、どれほど離れているのかも他国の読者にはわからないのでそのあたりの想像もつかない。

 このトラックに運転手以外に警護兵がいないとか、なぜ護送トラックの運転手を捜索に回すことに不信を覚えないのかとか(将校にばけているからとはいえ)、護送トラックを運転して逃走するのだろうと分からないでもないが、あまりそれと感じられる描写がないのであるいはまったく単独で逃げいているだけなのではと思っていると、やはり護送トラックだったとわかったり。もう少し書き込んでくれたらと思ってしまう。

 翻訳については基本的にはさほど違和はなかったのだけれど、年配の翻訳者の方のためか、若干文章が独特すぎてリズムに乗り切れない部分が目立ったところも。「○○だった。とはつまり、××ということだ」という表現がなんどとなくでてくるのには正直閉口してしまった。

 ということで設定そのものは非常に魅力的ではあったのだけれど、最後まで没入できないままに終わってしまった。つまり、いまひとつこの小説とは合わなかったということなのかもしれない。



祖国なき男

  • ジェフリー・ハウスホールド/翻訳:村上 博基
  • 東京創元社
  • 840円
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書評/ミステリ・サスペンス

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2010.02.08

ミラクルボディー

 なんだかこのところテレビの話ばかりになってしまっているけれど、NHK「ミラクルボディー」がなかなか面白かった。滑降のトップ選手の滑りを分析しているのだけれど、ふたりの選手の滑りを合成して見せてくれるのなどは特に。似たようなコースでありながら微妙な差で違いが出ているのがよくわかったり、後半のスピードの乗りの違いが体の姿勢などの映像も使ってなるほどと見せてくれた。

 筋力の使い方とか、脳波を調べたり、カメラを持って滑らせた映像をトップ選手のそれに合わせて速度調整して疑似体験させてくれる映像とか。

 疑似体験でよかった。あのスピードでは見えているというより感じているだけって感じ。

 で、オリンピック。滑降ではないのでそこまでのスピードはないのだと思うけれど、スキークロスやスノーボードクロス競技が、まさに複数人数で同時滑走という脅威の競技。放送予定を見ると、なんだかほとんど民放になっている。しかも早朝すぎる時間帯。テレビ東京にいたってはこちらでは見られるものやら。

 録画でもいいけどフルに見たいんだよなあ。

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ポニョポニョ

 テレビ放映ではあるけれど、ようやくにして「崖の上のポニョ」を見て、今のジブリ体制というか宮崎方式というかでのアニメ製作は限界にきているのでは、という思いがした。映像としては相変わらずすばらしい出来でその品質は非常に高い。けれどアニメーションとしてどうかというと、時間のなさなのか、それ以外のなにかなのか、結局締まりのない中途半端な状態で”完成とされた”としかいいようがないのではないかと。

 海の表現、多数のくらげの躍動感、愛らしいポニョの表情・しぐさ、荒れ狂う波のすさまじさ、魚や海の生き物たちのしなやかな動き、人々の動きや車や船の描写、嵐に翻弄される木々、などなど。とにかく映像としたらこれでもかというくらいに見事な描写が展開される。これはいかにも宮崎駿、スタジオ・ジブリという出来栄えに仕上がった。

 けれども物語のほうはというと、フジモトの存在がよく分からない上に宙ぶらりん、ポニョが人間になろうとして世界がおかしくなっているというのがいまひとつ明確でない。洪水はポニョのせいだったのかそれとも違ったのか、老人ホームのトキさんの存在が重要な意味を持つはずなのになんだか唐突であると同時に、不十分。描きたいこと、訴えたいことが分散しすぎて、結局まとまりをもてないまま中途半端で急激に物語が終わってしまう。

 作品としての時間が足りなかったのかといえば、そういうわけでもない。テーマがしっかりしていてぶれていなければ「となりのトトロ」にせよ、「紅の豚」にせよ、十分に描ききることができていた。

 こういう場面を描きたいというイメージボードのつなぎ合わせばかりで、それぞれの場面は確かに印象的なのだが、それらが一貫してつながりを見せることがないので物語としてのまとまりも深みもだせないままポニョが人間になってめでたしめでたし、はい、おしまい、という具合でしかなくなってしまった。

 ちょうど今公開されている映画「オーシャンズ」で、海の生き物たちの驚きの姿をこれでもかと見せてくれるように。

 ただ、「オーシャンズ」はドキュメンタリーなのだから、それだけで良い。しかし「崖の上のポニョ」はアニメーションなのだ。物語にまとまりがなくては単なるイメージビデオでしかない。それではポニョの意味はない。

 ポニョは当初宮崎さんがひとりでイメージを膨らませて準備を進められていた。それが実際に作品として動き出したわけだが、収拾がつかなくなった一因はそこにもあるのかもしれない。十分な製作期間を本当の意味でもてたのかというのもわからないけれど、公開を延期してでもしっかりとしたものにするという選択はできないのだとしたら、もはや宮崎さんは脚本やコンテに主体的には関わらずに、監督として統括していく作業に専念したほうがいいのかもしれない。すべてを宮崎さんひとりで取り仕切るような製作工程はあるいはもう限界にきているのではないかとも。

 少なくとも「ゲド戦記」をジブリ最悪の失敗作にしてしまった息子吾郎氏(吾郎氏ひとりの責任では無論ないけれど)とは違い、アニメーション作家として、監督としての力量は誰にも否定できるものではないわけで、今後は少し離れた目線で作品作りにあたるほうがあるいはよいのではないのだろうかとも思ってしまった。

 もちろんそれがすべての原因なのかどうかはわからないけれど、製作途上の様子などから思うに年齢的なものも含めてそういう考え方もあるいは否めないのではないかと。

 誤解のないようにあらためて言うと、「崖の上のポニョ」は映像としてすばらしい作品に仕上がった。ポニョのかわいらしさも素敵だ。けれども、これまでの宮崎アニメと比べたときにどうしようもないほどアニメーションとしての総合評価は低くならざるを得ないと思う。それが、残念。

 次なる作品があるというのも確かなところのようなので、ぜひ勇気をもって悔いのない作品にしてほしいなと思うところ。

Wikipedia とか見ると、それが狙いだということみたいではあるけれど。

B0021D5ETQ崖の上のポニョ [DVD]
ウォルトディズニースタジオホームエンターテイメント 2009-07-03

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2010.02.07

やっぱり手作り

 先週の NHK 「きょうの料理」では減塩料理のポイントを紹介していた。基本ではあるけれど、いろいろバリエーションで紹介してくれていたので、なかなか面白かった。

 やはり、手作りすること(だしにしろ、ドレッシングの類にしろ)、スパイス類など香味のものを使う、油でコクを加える、味付けは表面に、というのは分かりやすいし実感できるなあ。

 このところ出汁は煮干だし、冬ということもあるけれど生姜を常に使っているし、汁物には油を加えることが多い。表面に味付けってのはあまりそういう場面がないので実践はまだだけど。納豆に付属のタレは半分くらいしか使わないし(タレなしが普及するといいのになあ、とは思う。納豆の差別化はタレくらいしかないのが原因なのかなあ)、まあまあ減塩は実践できているのかと。

 減塩というのは慣れなので、やはり普段の食生活からそういう習慣をつけていかないと大変なんだよね。刺身や寿司を食べるのに、何度も何度も醤油を小皿に追加するのを見ると、末恐ろしく思う。

 食材そのものの味ってのは、意外なくらいおいしいものなんだけどなあ。

B00320OFPQNHKきょうの料理 2010年 02月号 [雑誌]
日本放送出版協会 2010-01-21

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 実のところ、きょうの料理ビギナーズのほうがおすすめだったりはする。

B00320OG32NHK きょうの料理ビギナーズ 2010年 02月号 [雑誌]
日本放送出版協会 2010-01-21

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2010.02.04

立春大福

 「春は名のみの風の寒さや」の早春賦はもう少し先の時期を歌ったのかとも思うけれど、立春とはいえまあ暦の上での話なんだから、まだまだ寒くても当然ということではあるなあ。いやはや冷えました。

 節分ということで、小さな子供が大きな声で豆まきするのはなんともいいなあ。だんだんとそういうことも無くなってしまう。親のほうがなんか恥ずかしそうに遠慮勝ちに声を出していたりする。

 立春というとなぜか思い出してしまうのが、金田理恵さんの本。「立春だあ」の台詞がなんとも頭に残ってしまっている。

4480871853ぜんまい屋の葉書
筑摩書房 1991-05

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「立春、立春」と唱えていたら、

大吉ならぬ大福が出てきました。
どんな大福だろう、と考えました。
飛んでいるのは、豆大福の豆のつもりです。
「ぜんまい屋の葉書」

 節分で豆まきして、立春で豆大福。うん、なんだか似合うなあ。ふと、豆大福を食べたくなった。あんこはつぶあんでお願いします。

 季節ごとの葉書を自前の印刷機で印刷したものの記録なのだけれど、そのゆったりしたセンスの良さがなんとも素敵な一冊。絵手紙とはまた違うあじわいがあるんだよね。

 大福まであるんだねえ。

B001UQSHQM【訳あり特価 送料無料】豆大福 規格外のどっさり40個入
オーガニックサイバーストア

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 さすがに 40 個は多すぎるか。

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