「大放浪」(田中光二)

パンデミック系の小説とかが流れてきて昨年から思い出していたのだけれど、文庫を発掘してきて再読。やや説明が長ったらしいところもあるので飛ばし読み気味ではあったけれど二日弱で読了。

しっかりと覚えていなかったのもあるけれど、こんな話だったかと。

世界中がおそらくはウィルスと思われる感染症でほぼ壊滅状態になったところで、とある実業家に選ばれていた者たちが巨大な飛行船に集結してまさにノアの箱舟となる物語。

感染症の詳細については最終的にはあかされるものの、あまり詳しくはでてこない。インフルエンザウィルスとボツリヌス菌とのハイブリッドという感じのウィルスによるものという設定。

飛行船で世界を回りつつ、選ばれし者たちを回収していくという展開なのだが、次第にそこに隠された謎があらわれてきて結末を迎えるということ。ありていにいえば、その実業家こそがウィルスを作成し、ばらまいた張本人で、選んだ優秀な者たちにあらかじめワクチンを飲ませておいた。それによって彼らは飛行船までたどりつくことができた。

けれども、その動きを察知したとあるグループによって破壊工作がなされる。最終的に飛行船に乗り込んでワクチンの情報を得ようと画策する。というような話。

小松左京の「復活の日」ほどの設定の深さというか、物語の深さというかはない。冒険物語だから。とはいえ、実はもう少しそういう話だったろうかという思いはあったのだが。

ま、絶版なのでネタバレでも。

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「里山奇談 2 めぐりゆく物語」

春ころに買ったものをようやく読む。このごろ三作目が文庫化されたばかりだったりするが、それを読むのはたぶん来年あたりかもしれない。まだ買ってないし。

現代の「遠野物語」とでもいうようなちいさなちょっと不思議な話が、たくさん詰まっている。いくらかは実体験であろうし、いくらかは誰かに聞いた話であろうし、いくらかは物語とするためのフィクションでもあろうし。

そうした田舎の不思議な体験、物語というのは、最近でこそ少し薄れてきているようにも思うものの、かつてならばより身近に存在した。そんななつかしさも覚える小品集。

かつて北海道の峠を自転車で越えていた自分としては、とうぜんひとりで峠を越えているさなかに思いをはせるといろいろ思うことがあったり、犬の話などは浜中ユースホステルにいたホステラーを展望台まで勝手に案内してくれる犬(大型犬)を思い出したり(当然案内してもらった)。

遺体に群がる蝶の話は「櫻子さんの足下には死体が埋まっている」のなかの蝶の話を思い出させたり。

真偽のほどは定かではないし、考え方はいろいろあるだろうけれど、自然への畏怖という日本的な考え方というのは、謙虚に生きるという上では大切なことではないかと思わないでもない。科学文化が発達してそうしたことへの意識・畏怖が次第に薄れてきている現代にあってこそ、思い起こさせるべきかもしれない。

そんな小品集を、心の休息のように、ときおり拾い読みするのもまた一興ではないかしら、と。

里山奇談 めぐりゆく物語 (角川文庫)

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2021 年春アニメ

「MARS RED」あとでまとめて見た。新しい吸血鬼ものとしてはおもしろい設定ではあったが、6 話あたりから展開が変わってしまって、そこからが少しぐちゃぐちゃしてきてしまったのが難。もともと朗読劇だったらしい。が、なんとなく「Fate」の中二病的な幼さを感じてしまう部分もあって、最後はやや微妙な感じが。

 

「 Vivy -Fluorite Eyeʼs Song-」100 年も書けて歴史改変しようというのがそもそも無理過ぎてだめだった。

 

「スーパーカブ」原作のダメさ加減と、制作会社のダメさ加減を強く認識するにいたった作品だった。スーパーカブ必要ないくらいに。

 

「スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました」ゆるゆるコメディなので安心して見ていられる作品だったが、この手は一回限りなので二期は考えないほうがよい。

 

「さよなら私のクラマー」作画の悪さ、脚本の悪さ、などなどあらが目に付いてしまって。原作なのだろうけれど、ギャグをいれたいならあだち充とかをもっと勉強したほうがよい。劇場版のできも想像できてしまいそうでダメだった。

 

「憂国のモリアーティ」(2クール目) 1 クールでやめたほうがよかったという後半の悪さだった。切り裂きジャックはでてくるし、果てはジェームズボンドまで。

 

「焼くならマグカップも」前半アニメ、後半は出演声優による舞台探訪。途中でやめてしまった。

 

「東京リベンジャーズ」夏も引き続き 2 クール目をやっている。握手すると過去と行き来できて、好きだった女の子が現代で死なないように歴史改変をしつづける。ちんぴらの抗争という展開そのものはきっと評判がよいのだろうけれど、やはり歴史改変ものは矛盾が大きすぎてこの程度ではどうにもというところがある。

 

「86」秋から 2 クール目が放送になるという。設定の独特さは面白いのだが、社会や文化的なものとの整合性という点ではどうも腑に落ちない。とはいえ、設定てきには興味深く見た。

 

「ひげを剃る。そして、女子高生を拾う」犯罪アニメをつくってどういうつもりだ、とかいう輩が徘徊していたが、だったらミステリ系も人が殺される物語もつくれないではないかということはどう考えるのかしら。親との和解場面は少々無理があって、このあたりが原作の限界だったのだろうとは思うが、総じてきちんとつくられた作品だった。赤尾でこさんらしい。

 

「EDENS ZERO」少し遅れて見始めた。いかにも王道な SF 冒険ファンタジー。「ONE PIECE」の宇宙版という感じなのは、仕方ないのか。これも 2 クール目が続いている。

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「マヨラナ 消えた天才物理学者を追う」

松崎有理さんがつぶやいていたのを見て購入。バーゲンブックということで当初の半額で買えたのでそれもまたありがたい。

1900 年代はじめに天才的な発想を見せたものの、生来の発表嫌いということもあって、ほとんどその功績が表に残らないままに失踪という最後を迎えた物理学者、エットーレ・マヨラナの姿を資料やインタビューなどを通じてまとめたもの。著者自身も科学者であり、エットーレの名前を冠する研究センターに所属したことでその存在を知り、以来ひきつけられて調べをすすめたと。

エンリコ・フェルミをはじめとするイタリアの科学者たちを集めたパニスペルナ通りの研究所。のちに誘われてその一員となったエットーレは、本来ひとりで考えるほうが好きだったようで、所属はしてもやや異彩を放っていたらしい。そして、早くからニュートリノの存在を見つけてその特徴についてまで考えていたらしい。

しかし、フェルミはそれを否定していた。のちに(エットーレ失踪後)逆にニュートリノの第一人者的な存在になっていくらしいのだが、そうした紆余曲折についても著者の視点で描かれていて面白い。

すぐに発表していたらいくつもノーベル賞が与えられたのではないかというくらいのエットーレだが、大学での教職をえて赴任してほどなく失踪。やめますという手紙を出したかと思えば、やはりやめるのはやめますと送りなおしていたりするものの、結局行方はわからないまま。自殺したのか、事故なのか、はたまた海外のあちこちで目撃したという情報まででてくるにいたってなにやらスパイ小説のような面白さまでしてくる。

時、あたかも大戦争時代を迎えようともしていたころで、フェルミなどもノーベル賞授賞式参加を口実にイタリアを出国し、そのまま帰ることはなかったのだという。そうした時代背景に翻弄されていく物理学者たちの姿もまた興味深く読める。

ロシアのペレルマン博士。ポアンカレ予想を解決した彼は、あまりに数学や物理に没頭したがゆえか、精神に異常をきたしたらしく姿を消してしまったまま。ようやく所在をつかんで恩師がたずねてみても、もはや人には会いたくないということだった。

エットーレもまたそうなのかはわからないが、実に謎多く、さまざまな憶測がうずまいているらしい。著者としては、そこはわからないままにおさえてある。確かにそれが正しいのだろう。

ニュートリノにはエットーレの名前が残っているという。マヨラナニュートリノとディラックニュートリノ。正しいのはどちらのモデルなのか、いまだ判然とはしないらしい。ニュートリノの存在、その特質は、おそらくエットーレがいなければもっともっと発見までに時間がかかったのかもしれない。そのくらいに偉大な人物というのに、自分もふくめてその名前すら知らずにこれまでいた。いや、知ったところでどうということでもないのも事実ではあるが、そんな様々な物語がその裏にあったとはなあと、世界の不思議を思うくらいには強烈な物語だった。

唯一不満に思うのは、ジルダが持っていた箱の行方について明確にされないままであること。エットーレ失踪の前日、最後の彼にあったのが当時の生徒のひとりジルダだった。女性は苦手だったはずの彼が、なぜか講義が休みでもあるのに学校にジルダをたずね、手ずから箱を預けたという。中身についてはいっさいわからない。

後年、ジルダはその箱のことを夫に話すと、エットーレの所有物の保管者となっている当時ナポリ大学物理学研究所長だったカレッリに渡すという話をしたというあたりまで本書に書かれているのだが、どうなったのかが書かれていない。ジルダの手を離れたようには読めるのだが、誰の手に渡ったのかは不明なままだ。実際そのあたりはどうだったのか? ジルダ本人にインタビューはしているのでそのあたりわかっているのだろうとは思うのだが。その箱の中身がわかれば、きっと大きな発見になるのではなかろうか、とも思うが、どうやらもうそれも望めないらしい。

パニスペルナ通りの研究所を描いた映画があるらしいのだが、どうも日本ではまったく上映されたりした様子はないようだ。あくまでもフィクションではあるが、できれば見てみたいものだ。

エットーレ・マヨラナ。もしも、生きていたらどれほどの功績を残したのだろうな。

マヨラナ 消えた天才物理学者を追う

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「探偵はもう、死んでいる。」2話

いきなり名探偵のシエスタが死んでしまって、さてと思っていたらもう本当に生き返らないという設定だと見せつけられる第2話。

おおかたそんな展開になりそうだなと想像がついたものの、うーむ、これでは。

おそらくはこの先もシエスタの魂が赴くように彼女と彼を動かしていくという展開にはなるのだろうけれど、それは求めている物語とは違うものなのではあった。

シエスタが見たいのだ。

声優さんの出番ももうほぼ終わり。無念だ。ヒロインというのに。

しかし、主人公は、どう見ても 26 歳くらいでしかないな。中学生だったときと変わらずに。一方であらたなヒロインはちゃんと女子高生しているけれど。このあたりもいまひとつ推せないところかもしれない。

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